コロナ禍 細心の避難所運営確認 静岡県総合防災訓練
入り口で健康状態確認 吉田
吉田町内の避難所として指定されている中央小では、新型コロナを踏まえた避難所開設運営訓練を実施した。
町職員、川尻区自主防災会を中心とした地域住民が参加した。体育館の入り口に避難者の健康状態を記入する場所を設置。発熱などの症状がある避難者に対しては通常の避難スペースとは別の個室に誘導する一連の流れを確かめた。 高齢者や障害者ら要配慮者への対応を円滑に進めるため、スペースを区分けし、入り口に近い場所へ専用テントを設置する対策を講じた。
川尻区の松浦祐之自治会長(69)は「地域と行政間での情報共有の必要性を再認識した。課題を改善し、有事に備えたい」と話した。
災害時に役立つ情報を発信する県のスマートフォンアプリ「静岡県防災」の利用体験会なども開かれた。
(榛原支局・足立健太郎)
検視、円滑に 牧之原
県警や牧之原市などは遺体安置所の運営訓練を同市の静波体育館で実施した。収容した遺体に見立てた人形を洗浄し、身元確認や検視、歯牙の鑑定を経て、遺族に引き渡すまでの手順を確かめた。
遺体が体育館に運び込まれると、入り口で搬送係から発見場所や状況を聞き取った。それらの情報を踏まえて警察と医師会が検視に臨み、事件性の有無を判断。外傷や死亡推定時刻などから死因を特定し、死体検案書を作成した。歯科医師会は歯の治療痕から身元を特定する作業に取り組んだ。
26人が巻き込まれた昨年7月の熱海土石流災害では市内に遺体安置所が設置され、県警は警察協力医などと協力し検視業務に当たった。県警捜査1課の成岡智統括検視官は「亡くなった方や遺族をおざなりにしないように訓練を重ね、円滑な災害対応や検視業務に務めていく」と述べた。
(社会部・市川幹人)
支援物資を迅速搬出 藤枝
広域物資輸送拠点のJA大井川農産物集出荷場(藤枝市)では、支援物資の搬出訓練が行われた。県職員ら約40人が、国のプッシュ型支援物資を被災自治体へ迅速に届ける一連の流れを確認した。
物資は飲料水や保存食、衛生用品など。県職員は倉庫に一時保管された物資を運搬用器具でトラック近くまで移動させた。JA職員がフォークリフトでトラックに積載し、川根本町、吉田町、牧之原市、島田市に向けて順次出発した。
訓練を指揮した県志太榛原農林事務所の三輪恵一総務班長は「支援物資を必要な場所に届ける大切な拠点。拠点の迅速な設置に加えて、フォークリフトのオペレーターなどの人手確保も重要になる」と強調した。
(島田支局・池田悠太郎)