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テーマ : 富士市

飲酒検知器 需要拡大で開発強化 半導体足りず品薄、義務化延期

 警察庁が10月から予定していた「白ナンバー」事業者に対するアルコール検知器を使った運転者飲酒検査の義務化が延期された。世界的な半導体不足の影響で、検知器が供給不足になっているため。静岡県内でも今後の見通しが立ちにくい中、需要拡大に対応しようと、新規参入の企業が低価格の商品開発を進めている。

クリップソフトが開発した「アルコールチェックシステム」=8月下旬、浜松市中区
クリップソフトが開発した「アルコールチェックシステム」=8月下旬、浜松市中区


 ■浜松の企業と商議所 安価で手軽に
 アルコール検知器開発製造の大手「東海電子」(富士市)によると、現在は1年待ちの社員証をかざすタイプや簡易型など、2機種が出荷待ちの状態。他機種も在庫が少ない状態が続いている。担当者は「4月以降に注文された事業者には、(当初義務化される予定だった)10月までに出荷できないと伝えていた」と話す。
 ソフトウエア開発「クリップソフト」(浜松市中区)は、アルコール検知器の製造に参入した。浜松商工会議所と共同で2月に開発に着手。自社の3Dプリンターの技術を生かし、安価で使いやすい「アルコールチェックシステム」を発売した。
 7月から同商議所に設置し、利用者の意見を基に改良を進めている。新たに市内の金融機関でも試験導入が始まった。山本進社長は「利用者によって用途が違うので、顧客に応じてカスタマイズしていきたい」と話し、年間販売目標を100セットに設定する。
 4月に改正された道交法施行規則は、それまでの運輸関連の事業者だけでなく、白ナンバーの車を使う事業者にもアルコール検査を義務付けた。検知器の導入が間に合わない場合でも、安全運転管理者の設置、目視などによる確認、記録の1年間保存といった飲酒運転防止策の確立が求められている。
 警察庁交通企画課の担当者は「呼気のにおいや話し方などで確認することも通達している」と注意を呼びかける。
 (浜松総局・大山雄一郎)

 <メモ>警察庁は改正道交法施行規則で、白ナンバーの車を5台以上か、定員11人以上の車を1台以上使う事業者にもアルコール検知器を使った飲酒検査を義務付けた。千葉県八街市で2021年、下校中の小学生5人が白ナンバーの大型トラックにはねられて死傷した事故がきっかけ。検査は運転前後に実施し、記録は1年間保存する。

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