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テーマ : 浜松市

「新興企業集う浜松市」へ ファンドサポート事業4年目 静岡県外17社進出

 浜松市がスタートアップ(新興企業)支援策として全国の自治体に先駆けて導入したファンドサポート事業が4年目を迎えた。投資会社と連動して交付金を支給し、スタートアップの資金調達を後押しする。事業を契機に成長分野のスタートアップが市内に進出したり、製造業との協業を進めたりと成果も出始めた。市はスタートアップが集積する「浜松バレー構想」の実現に向け支援を強化する。

ファンドサポート事業への採択を契機に浜松市に進出したキューボレックスの寺嶋瑞仁社長。不整地での負担軽減に向けた開発を行い、今後、海外展開も見据えている=7月下旬、同市中区
ファンドサポート事業への採択を契機に浜松市に進出したキューボレックスの寺嶋瑞仁社長。不整地での負担軽減に向けた開発を行い、今後、海外展開も見据えている=7月下旬、同市中区


 農家が使う手押し車のタイヤ部分の電動化キットなどを手掛ける「キューボレックス」(本社・東京)。2021年度のファンドサポート事業での採択を機に今年6月、浜松営業所を開設した。寺嶋瑞仁社長(29)も移り住み、ビジネスの加速を図る。
 市場拡大を目指し、ミカン農家が多い静岡か愛媛県を候補地に考えていた同社。寺嶋社長は「ファンドサポートが決め手。金額が大きく、資金調達法として魅力的」と話す。田畑や災害現場など「不整地」での作業効率向上に貢献する製品開発を進め、将来的な海外展開も見据えている。
 浜松市は同事業を始めた19年度以降、24社を採択し、7千万円を上限に計9億7146万円を支給した。このうち、県外の17社は浜松に進出して新たな雇用を創出。スタートアップと市内の製造業などが連携して技術開発に取り組む動きも見られ、21年度の連携事例は全37件に上った。
 市は実績の乏しいシード(種)の研究開発事業が採択されにくいという反省も踏まえ、22年度は一般枠(上限4千万円)に加え、創業初期の「シードR&D枠」(同1千万円)を創設した。市内企業との連携を後押しするための「協業枠」(同2千万円)も設けた。
 今後は高校、大学生の起業精神の醸成や、ものづくり企業から起業しやすい環境づくりにも取り組む。市スタートアップ推進課の担当者は「新興企業が生まれ、集まり、育つというスタートアップ・エコシステムの構築につなげたい」と意気込む。
 (浜松総局・宮崎浩一)

 ファンドサポート事業 浜松市認定のベンチャーキャピタル(VC、投資会社)が将来性を見込んで投資したスタートアップに対して市が審査し、VCの投資額と同額などを上限に交付金を支給する制度。有望スタートアップの誘致を目的に全国自治体で初めて導入した。現在の認定VCは41社。スタートアップは有効な資金調達法として、認定VCは投資先の資金が充実して事業が進展しやすくなり、投資リスクが軽減される利点がある。

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