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テーマ : 裁判しずおか

磐田市成年後見支援センター開所 市民担い手、養成不可欠【風紋】

 認知症などで判断能力が不十分な市民の権利を代理人が保護する「成年後見制度」の普及を図る磐田市成年後見支援センターが1日、開所した。高齢化の進行に伴い制度の利用の必要性が増す中、課題は代理人を担う後見人の不足だ。ボランティアによる「市民後見人」の養成を強化し、全ての人が安心して暮らせる地域の体制づくりを目指してほしい。
 認知症高齢者や知的障害者、精神障害者の財産管理などの支援を第三者の後見人が行う同制度。後見人には法人や弁護士、司法書士、社会福祉士、親族、それ以外の市民後見人が充てられる。2000年に導入され、16年施行の利用促進法に基づいて、18年から全国で家庭裁判所や専門職などの関係機関をつなぐコーディネーターの役割を持つ中核機関の設置を本格化させている。
 磐田市の支援センターは県内の他市町と比べ、早い時期の開設ではないが、核家族化が進む中、家族に頼れない高齢者らの特殊詐欺被害の回避や金融機関の口座管理などの支援を進めるには必要不可欠だ。
 後見人の担い手不足を補うため、県東部では市民後見人の養成を積極的に行っている。県西部でも今後、同様の取り組みが必要になるだろう。磐田市では18~19年に市民後見人の養成講座を開催。今年7月には、静岡家裁浜松支部の管内として初の市民後見人も誕生した。
 市民後見人は、住民目線で相談に応じることができる点が長所だ。手厚い見守り活動を行い、制度利用者のかゆいところに手が届く支援をしてほしい。
 家族の面倒は家族が見るという考えが根付いているからか、市民後見人はまだ少ないのが課題だ。静岡家裁のまとめによると、県内の市民後見人は29人(21年12月末時点)。国が掲げる共生社会を実現するためには、まずは市民後見人の認知度向上が重要になる。例えば高齢者サロンや交流センターでの講演などを通じて、地域の中で高齢者らを支える人材が身近に感じられるような取り組みに期待したい。

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