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弁護団鑑定「異論ない」 袴田さん差し戻し審、化学専門家が証言

 旧清水市(静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直しを求めている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、弁護団が請求した化学者の証人尋問が5日、東京高裁で非公開であり、1年以上みそに漬かった血痕に「赤みが残ることはない」とまとめた弁護団提出の鑑定書を「全く異論はない」と肯定した。
 事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクから見つかった「5点の衣類」に付着した血痕には赤みが見て取れ、審理を高裁に差し戻した最高裁決定は血痕の変色に影響を及ぼす要因について専門的知見を踏まえて検討するよう求めた。
 7月から3日間の日程で計5人が出廷した証人尋問は、5日が最終日。記者会見した弁護団の間光洋弁護士は「最高裁が差し戻し審に与えた課題は(弁護団請求の)3人の証言で決着がついた」と自信を示した。
 5日に証言したのは北海道大の石森浩一郎教授(物理化学)。みそ漬け血痕について「1年もたてば赤みは消える」と明言。東京高検側の証人は、高検の「みそ漬け実験」を前提に「赤みが残る可能性はある」としたが、石森教授は脱酸素剤などが用いられているとして「みそタンクの環境下と実験条件が違いすぎる。急激に酸素濃度を下げ、赤みを保持する条件になっている」と指摘。「みそタンクはみそを仕込んだ当初は酸素が豊富」と反論した。
 高裁は高検、弁護団との次回の3者協議を9月26日に開き、最終意見書の提出時期などを話し合う。11月初旬には、高検の「みそ漬け実験」に立ち会う。

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