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テーマ : 経済しずおか

焼津魚市場「透明性」模索 カツオ盗舞台、改革へ職員議論白熱

 冷凍カツオの窃盗事件の舞台となった焼津魚市場(焼津市)の改善策について話し合う焼津漁業協同組合の職員でつくるチームの議論が本格化している。メンバーは魚市場で働く職員たちが中心。日常業務の問題点を徹底的に洗い出し、デジタル化することで市場運営の透明化が図れないかと模索している。

ほかの魚市場の実例を見ながら、改善策について話し合う焼津魚市場改善改革チームのメンバー=6月下旬、焼津市の焼津漁協
ほかの魚市場の実例を見ながら、改善策について話し合う焼津魚市場改善改革チームのメンバー=6月下旬、焼津市の焼津漁協

 チームは今年4月に発足した。メンバーは市場や冷蔵庫といった現場で働く40代、30代の職員9人で構成。初会合では日頃から感じている課題を改めて出し合った。水揚げ後の計量や競りといった業務から人材育成、女性の働き方、喫煙対策など、組織のさまざまな問題点が浮き彫りとなった。2回目以降はこれらの意見を下地に、改善に向けての話し合いに移った。
 6月の会合では競りの情報について、手書きから端末入力に変更できるかが議題となった。作業の省力化はもとより、市場にモニターを置いて入力データを表示させることで、どの業者がどれだけの量を購入したかを可視化する―という狙いもある。「余計な作業が省かれて働き方に余力が生まれる」「作業的に難しい」など議論は白熱。「ほかの市場を視察したい」との訴えもあった。
 今後は実際にどの作業をデジタル化し、どのような効果を出すのか議論を深める。チーム長を務める久保山悦広常務理事は「ここで話し合って可能なことは即実行し、予算のかかる内容も執行部に提言していく」と話す。
 

再発防止「自動化で管理」 県内機械メーカー

 今回の窃盗事件を受け、静岡県内の機械メーカーは再発防止に向けた自動化システムを同漁協に提案する。温床となった計量所をすり抜けるトラックをシステムで管理し、市場外に容易に出られない仕組みを構築する。
 メーカーは不正対策を短期、中期、長期に分けて提案。今すぐできることとして、魚を入れるコンテナの統一化などを挙げた。漁港出入り口の管理は中期項目とし、一般車とトラックを分けたゲートを設置。トラックのナンバープレートを画像認識で読み取り、トラックスケールを通過して計量データが一致しないとゲートが開かない仕組みにする。長期項目は水揚げから計量まで自動搬送車で行うことを構想する。
 メーカーの幹部は「人を介さないシステムを構築すれば不正を防ぐことができる。失った信頼を回復するために今できることを説明した」と話す。

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