あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 富士宮市

大自在(7月21日)送電

 富士宮支局で取材していた30年近く前、学校紹介の記事で芝川町立(現富士宮市立)内房小の特徴を県東部地区で唯一中部電力から電力供給を受けている小学校―と伝えた。県東部では内房小だけ富士川の西側にある。
 本県の電力会社のエリアは、富士川の東側が東京電力、西側は中部電力と分かれている。周波数も東側が50ヘルツ、西側が60ヘルツと異なる。明治期、東京でドイツ製50ヘルツの発電機が、大阪では米国製60ヘルツの発電機がそれぞれ導入され、周辺に広がったためと言われている。
 東日本大震災の後、同じ県内なのに東部地区だけ計画停電が実施されたのは記憶に新しい。富士川をまたいで引っ越す際、電化製品が使えるかどうか周波数の違いを気にした人もいるだろう。
 猛暑のたびに電力不足が懸念され、節電が推奨される。いざという時は電力会社間で電力を融通し合うしかない。東日本と西日本の間でも周波数変換装置によって融通は可能だが、送電量は限られる。北海道と本州、九州と本州の送電網も脆弱[ぜいじゃく]と指摘される。
 全国でスマートフォンの通信障害が発生し、社会が大混乱した。そのスマホも電気がなければ役に立たない。暑い季節だけにクーラーや冷蔵庫が使えないと考えただけでもぞっとする。
 参院選では論点にならなかったが、将来にわたる安定的な電力の確保は重要な政治課題だ。発電の割合がどうなっても電力を補い合う送電網の整備には力を注がなければならない。富士川の向こうは明かりがついているのに、こちらは真っ暗。こんな事態が起きないように。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

富士宮市の記事一覧

他の追っかけを読む