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栄光、絶望…半生を振り返る著書 サッカー元代表主将・森岡隆三

 サッカー元日本代表主将の森岡隆三が、自らの半生を振り返る著書「すべての瞬間を生きる PLAY EVERY MOMENT」(徳間書店)を発刊した。夢中でボールを蹴った少年時代からプロ選手を経て指導者になった現在までを全11章にまとめた。サッカーを通じて味わった歓喜や栄光だけでなく、苦悩や絶望も包み隠さず記した。

現役時代の印象に残るゲームとして1996年ナビスコカップ予選リーグ最終戦ジェフ市原戦を挙げた森岡隆三。「あのゲームで見せた勇敢さはエスパルスの原点」=6月下旬、静岡市駿河区の静岡新聞放送会館(写真部・杉山英一)
現役時代の印象に残るゲームとして1996年ナビスコカップ予選リーグ最終戦ジェフ市原戦を挙げた森岡隆三。「あのゲームで見せた勇敢さはエスパルスの原点」=6月下旬、静岡市駿河区の静岡新聞放送会館(写真部・杉山英一)

 シドニー五輪、アジア杯、日韓ワールドカップ(W杯)への出場。清水エスパルスでのタイトル獲得。華々しい選手キャリアと裏腹に、著書は2002年日韓W杯の初戦、左足の違和感で途中交代を余儀なくされたシーンで幕を開ける。
 「本を書くことになって半生を振り返ってみると、思い出すのは苦い経験ばかり。これでいいのかな、という思いもあったが、編集の方に『だからこそ出す価値がある』と言っていただいた」
 小中高校での挫折、けがとの戦い、重要なゲームでの失点シーン-。著書からは、逆境を成長のバネにした過程が読み取れる。
 「ディフェンダーだったからかもしれないが、やられた記憶はすごく残っている。でもここで書いた挫折感やしんどい思いは、子どもたちやその成長を見守る親にきっと共感してもらえるはず。読んだ方が次に進むきっかけになればいい」
 練習や試合の記述は詳細を極める。李国秀、オズワルド・アルディレス、スティーブ・ペリマン、フィリップ・トルシエら、指導者とのやりとりも生々しい。
 「自分が大きく影響を受けた方々。現役引退後、京都サンガでコーチを任されたとき、最初にやったことは昔の指導者の教えを書き出すことだった。選手に対して『何をやるか』より『何を言うか』だと思って」
 現在はエスパルスのアカデミー(育成機関)で「ヘッドオブコーチング」を務める。選手育成の「フィロソフィー」を定め、プレースタイルや選手の理想像などを明示した。著書ではクラブの在り方にも言及する。
 「優勝は一つの目標だが、その前にこの地域でどうありたいかが大事。サポーターと共有できる夢、感動、誇りをしっかり提示する必要がある」
 (文化生活部・橋爪充)

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