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生産量シェア、日本一維持へ 結束し販路開拓策創出 沼津ひものの会会長/長沢健司氏【本音インタビュー】

 全国シェア約40%を占め、長年、生産量トップを維持する沼津市産の干物。江戸末期から明治初期が起源とされ、今でも地域を支える主産業の地位にある。だが、食の多様化などで消費減や売り上げは低迷。2004年に発足し、市内の干物加工業者で構成する「沼津ひものの会」をけん引し、打開策を模索している。

長沢健司会長 ながさわ・けんじ 沼津ひものの会会長のほか、沼津魚仲買商協同組合理事長、家業の長庄水産社長と要職を複数こなす。20代前半まで美容師だったという異色の経歴の持ち主。富士市出身。60歳。
長沢健司会長 ながさわ・けんじ 沼津ひものの会会長のほか、沼津魚仲買商協同組合理事長、家業の長庄水産社長と要職を複数こなす。20代前半まで美容師だったという異色の経歴の持ち主。富士市出身。60歳。


 ―沼津ひものの会の活動の柱は。
 「『沼津ひもの』のPRと交流が中心。干物の開き方教室やイベント開催、会員業者同士の交流を進めている。以前は、干物の加工業者の組合は二分していた。同じ沼津にあり、同業者なのに不仲で、つながっていないのは不自然だった。約20年前に一緒になれたのは、衰退する業界に対し危機感を共有できたから。約50社が会員だが、窮状を打破するには即効薬はない。結束して立ち向かい、知恵を絞って実行に移すことが必要だ」
 ―市内の業者は激減し後継者難も。人材育成と確保が急務では。
 「作れば売れるという羽振りの良かった時代が長かった。全国シェア70%台の時もあった。それだけに時代の変化に対応できてこなかったと言える。ただ、今は世代が変わり40、50代が業界の中心。世代交代し、異なる地区の垣根もなく連携できることで窮状のカバーにつながれば。同じ『沼津ひもの』として売り出そうと。後継者難はあるが、意識の高い担い手は多く、この意識を大事にしていきたい」
 ―「沼津ひもの」がシェア日本一を維持している理由は。今後もトップを守るには。
 「干物の良しあしは原料の魚で決まる。それを見極めるのはまさに職人技。目利きの良さが、取引先や消費者といった幅広い人たちの信頼につながっている。ただ、他の産地だけではなく、アジフライやすしネタなど他商品も含めライバルは多い。『沼津ひもの』はこれだという特徴を掲げ、ブランド化を検討する必要がある」
 ―ターゲットを絞ることは。
 「比較的魚を食す40代以上を想定し、一大消費地の関東圏での販路開拓が不可欠。一方で、若い世代には柔軟な試みでアプローチできれば。例えば、半身にして骨も取り除いてより食べやすくするとか。魚本来の良さを維持しバランスを考慮しながら、臨みたい」

 ながさわ・けんじ 沼津ひものの会会長のほか、沼津魚仲買商協同組合理事長、家業の長庄水産社長と要職を複数こなす。20代前半まで美容師だったという異色の経歴の持ち主。富士市出身。60歳。

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