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静岡人インタビュー「この人」 鈴木康広さん(東京都) 県文化奨励賞に選ばれた現代美術家

 ありふれた日常に新しい切り口を与え、世界の捉え方を問い直す作品をつくり続ける。2021年に静岡市美術館の入り口ホールで開いた個展では、10年の同館開館時の展示作品「まばたきの葉」を同じ場所に“再生”。時空を超えた参加型アートとして話題を呼んだ。武蔵野美大教授。浜松南高出。43歳。

鈴木康広さん
鈴木康広さん

 -受賞の感想を。
 「たいへん光栄。活動機会をいただいたこと、それを文化・芸術として認めてもらえたことがうれしい。僕は生活の中で『大切だ』と思ったことを、研究機関や展覧会を企画する方々と具現化してきた。街の空間に新しい場所を見つけるのが自分の活動だと再認識できた」
 -「楽しさ」を深く、広く追求する作品づくりの端緒は。
 「湧き上がったアイデアや、眠っていた時の夢をスケッチする複数のノート。1ページ目から順番に描かないことが重要だ。現在過去未来が不確かになって、自分のかつてのアイデアを忘れられる。時間をおいてスケッチを目にすると、描いた時とは別の反応が自分に生まれる。能力を超えた創造力が得られる」
 -アートを志した時期は。
 「高校3年の夏休み。夏季受験講座に自転車で通っていたが、道中にあった美術研究所の看板に興味を引かれて入った。自分を生かす場について何も思い至らなかった時期。美術はリアルな競争からの逃避だった」
 -表現者を目指す若い世代に伝えたいことは。
 「僕は数学が苦手で、そこから避難しようと美大に進んだが、今は数学的発想が作品づくりに生かされている。アートには人間の全てが入っている。年齢によって変化する興味関心を一つにまとめ、あらゆるものを媒介するのがアートだと思う」

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