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テーマ : 藤枝市

村越化石 生誕100年、郷土藤枝で行事 ハンセン病と闘った「魂の俳人」

 ハンセン病と闘いながら数々の俳句を生み出し、「魂の俳人」と呼ばれた旧朝比奈村(藤枝市岡部町)出身の俳人村越化石(本名英彦、1922~2014年)は今年、生誕100年を迎える。市は本年度、記念行事を展開して功績をたたえるとともに、俳句をはじめとした地域の文化芸術の発信に努める。

朝比奈川沿いを散策して俳句づくりをする吟行句会の参加者=5月下旬、藤枝市内
朝比奈川沿いを散策して俳句づくりをする吟行句会の参加者=5月下旬、藤枝市内
句碑の除幕式に訪れた村越化石=2002年11月、藤枝市内(市提供)
句碑の除幕式に訪れた村越化石=2002年11月、藤枝市内(市提供)
朝比奈川沿いを散策して俳句づくりをする吟行句会の参加者=5月下旬、藤枝市内
句碑の除幕式に訪れた村越化石=2002年11月、藤枝市内(市提供)

 「少しでも化石の思いに触れることができたら」。5月下旬に岡部町朝比奈地区で開催された吟行句会。中学生の孫と参加した小沼章雄さん(75)=同市=は偉大な俳人を輩出した地を巡りながら、俳句の題材探しに取り組んだ。
 句会には地元住民ら約20人が参加し、朝比奈川沿いにある生家や玉露の里に建つ句碑、大龍勢のやぐら、寺社などを見学した。「風薫る 心魂の声 母の声」など、それぞれがその生涯に思いをはせたり、地域の自然や歴史を取り入れたりした俳句を仕上げた。
 市は12月に市民ホールおかべで生誕100年記念式典を行うほか、夏ごろには毎年恒例になっている俳句大会も開催する。小中学生も含め、広く作品を募集する。
 化石は旧制志太中(現・藤枝東高)に在学していた16歳の時にハンセン病の罹患(りかん)が発覚。療養のために長年にわたり郷土を離れていた。2002年、玉露の里に句碑が設置されることに合わせ、60年ぶりに帰郷して除幕に立ち会った。句碑には「望郷の 目覚む 八十八夜かな」と刻まれる。藤枝の俳句大会の選句にも携わった。
 市街道・文化課の担当者は「生誕100年の節目を、子どもたちにも化石の生涯や功績について伝える機会にしたい」と話す。

 <メモ>村越化石 1922年12月17日、旧朝比奈村で生まれる。16歳でハンセン病の罹患が判明し、生家を離れた。東京の病人宿で俳句と出合い、その後の長い療養生活を群馬県草津町で過ごした。50歳前に目が見えなくなり、晩年は聴力も弱ったが精力的な創句活動を続けた。俳人協会賞や蛇笏(だこつ)賞、紫綬褒章などを受けた。2014年3月8日、老衰のため91歳で死去した。

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