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テーマ : 浜松市

浜松避難のウクライナ家族 平和の尊さ語る「戦争ないことが一番」

 22日に公示された参院選は安全保障が争点の一つになっている。ロシアのウクライナ侵攻によって揺らぐ国際秩序。ウクライナ北東部のハリコフから浜松市に避難したパクハモフ・ヴァラディミルさん(31)一家が同日、市役所での鈴木康友市長との面会後、市民に向けて平和の尊さを訴えた。

浜松市に避難したパクハモフ・ヴァラディミルさん一家=22日午前、市役所
浜松市に避難したパクハモフ・ヴァラディミルさん一家=22日午前、市役所

 2月24日早朝、ヴァラディミルさんの妻ダリナさん(29)は大きな爆弾の音で目を覚ました。連続する爆音におびえ、「自分が生きているうちに戦争が起きるわけがない」と信じたかったが、すぐに現実へと切り替わった。
 夫妻はその日のうちに、生後間もない長女アリサちゃんと車で脱出。避難した街でもロシアの攻撃が始まり、各地を転々とした。3月20日にオーストリアに逃れ、5月28日に浜松市に住む知人のサッカー選手を頼って来日した。
 ロシア軍の侵攻に対し、ヴァラディミルさんは「こんな愚かな行為に及ぶ政府があるのか」と憤る。一方、「いつになれば元の生活に戻れるのか分からない」との不安がよぎり、「帰国」という決断には二の足を踏む。
 「戦争がないことが一番大切。戦争に勝者はいない。みんなが敗者」とヴァラディミルさん。戦争の悲惨さを体験した今、過去の戦争を知る曽祖父や曽祖母から教えられた言葉を実感している。
 現在は知人宅に身を寄せる生活だが、9カ月になったアリサちゃんは、21日には初めてつかまり立ちするなど日に日に成長の跡を見せる。夫妻は、優しいまなざしをわが子に向け、「この子にはたくさんの異文化に触れ、今回の経験をいい方向へつなげて元気に育ってほしい」と願う。

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