病気で苦しむ家族きっかけ 自らの髪を医療用かつらに 焼津の美容師石川さん
焼津市大覚寺で美容室を営む石川和弘さん(42)が、医療用ウィッグ(かつら)に髪を提供する「ヘアドネーション」に臨んだ。6年前からヘアドネーションに賛同する来店客の髪をカットしてきた石川さんは、病気で髪の毛を失い苦しむ家族の姿を目の当たりにしたことをきっかけに、自身の髪も提供しようと決意して2年前から伸ばし続けてきた。
石川さんは20日に浜松市北区の先輩美容師のハサミで、肩ぐらいまで伸びた髪を30センチカットした。20束ほどの髪を医療用ウィッグメーカー「グローウィング」(大阪府)のプロジェクト「つな髪」に送った。石川さんは「捨てられるはずの髪が誰かの役に立ってくれる」と思いを語る。
石川さんがヘアドネーションの活動に携わったのは6年前から。経営する美容室「髪やカルディア」で来店客がカットした髪を寄付したいと申し出たことがきっかけだった。
それ以降、長い髪をカットに訪れる客に趣旨を説明し、賛同を得られた人の髪を寄付してきた。賛同者はこれまでに20~30人ほどに上るという。
寄付した髪が病気で苦しむ人たちの助けになっていることを知った。家族の出来事も相まって「髪の毛を伸ばすことができる時がチャンス」と自らも活動参加を決意した。石川さんは「自分の取り組みをきっかけに、ヘアドネーションの賛同者が広がれば」と語った。