浜名湖のボート転覆12年 現場、学校で追悼 再発防止決意新た
浜名湖で2010年に県立三ケ日青年の家(浜松市北区)のボートが転覆し、愛知県豊橋市の市立中1年の女子生徒=当時(12)=が亡くなった事故は18日、発生から12年を迎え、青年の家と同校で追悼行事が営まれた。関係者が女子生徒の冥福を祈るとともに、再発防止に向けた決意や安全確保の重要性を改めて確認した。
青年の家では県教委の関係者ら約20人が、女子生徒をイメージした少女の慰霊像の前で黙とうをささげた。池上重弘教育長は「安全は全てに優先するものという信念で、青少年教育施設とこれまで以上に強い連携を図る」とあいさつした。
この日の天候は12年前と同じく雨。事故後初めて出席した女子生徒の父(63)は「当時の写真の空模様と同じ。思い出してしまった」と本音を吐露した。それでも「重たい犠牲を払って得た教訓を事故の未然防止につなげるため、安全への取り組みを強化する日にしてほしい」と願った。
式典後の救助訓練では落水者を救助艇で搬送し、海洋活動を中止して帰航するまでの手順を確認した。青年の家の御園崇所長(46)は「安全意識を維持するだけでなく、より向上させる」と述べた。
市立中では生徒と教職員が命について考える活動を行った。青年の家の前所長城田守さん(67)が講演し「仲間や家族は宝物。互いを思いやり、大切にしてほしい」と訴えた。教職員には「主人公である子どもを第一に考え、安全のために行動する勇気を持って」と説いた。
生徒は黄色い風船を空に放ち、女子生徒を悼んだ。生徒会長の鈴木莉依さん(15)は「章南中生として(女子生徒のことは)忘れてはいけない。この思いを後輩に受け継ぐ」と誓った。