地域に合わせ集中出店 ローカル食商品、提案力高める 作道政昭/マックスバリュ東海社長【聞きたい】
マックスバリュ東海のトップに5月24日付で就任した。原材料価格が高騰し、経営環境が厳しさを増す中、地域密着経営で選ばれる店づくりを目指す。
―食品スーパーは競争が激化している。顧客獲得戦略は。
「エリアに合わせて小型店や大型店、移動スーパーなどを集中出店して利便性を高めることが重要だ。小型店の浜松常盤町店(浜松市中区)から数百メートル離れた場所で出店準備を進める店舗は、大通りを挟んで商圏が異なると判断した。3月に、企業内に初出店した無人店舗はオフィス内外で拡大していく。さまざまな業態で展開し、当社ならではの食を中心とした商品提案力を高める」
―商品の魅力向上策は。
「イオングループのプライベートブランドのトップバリュ(TV)以外に、独自のローカルTVの販売を3月の『遠州潮風新たまねぎ』から始めた。5商品を販売し、売り上げは好調に推移している。これまでは農水産物などが中心だったが、地域に根差した味を大切に再現した総菜を作ろうとも取り組んでいる」
―原材料価格の高騰にどう対応するか。
「取引先と物流合理化を進めて高騰の影響を抑える一方で、商品に付加価値を付けなければならない。例えば富士山にちなんだ商品の売り上げの一部を富士山の環境保全活動に充てるキャンペーン。商品を購入することが社会貢献につながることをアピールしたい」
―効率化や利便性向上に向けた方策は。
「キャッシュレス決済の利用比率は約65%にまで伸び、セルフレジの導入を加速している。6月から1店舗でスマートフォンのアプリを使ったセルフスキャンシステムの運用を始めた。日本総菜協会などと取り組む総菜盛り付けロボットの開発は今後、さらに進化させたい。普及には導入コストなどに課題があるが、生産性を高めるために同業者を含め業界全体で協力すべきと考えている」
つくりみち・まさあき 1992年北陸ジャスコ(現イオン)入社。2019年にMV東海と統合したMV中部の取締役兼執行役員やMV東海取締役執行役員商品本部長などを歴任した。52歳。