餌代/光熱費/燃料代 水族館・動物園に高騰の波直撃 静岡県内
新型コロナウイルス禍の来場者減少が続く中、静岡県内の水族館と動物園が餌代や光熱費、燃料代の高騰に直面している。ガソリン高や輸送コスト上昇、穀物の供給不安など国際情勢が原因だ。先行き不透明感が強まり、各施設は対応に苦慮。利用料金の値上げに踏み切る動きも出てきた。

天然の入り江を利用した下田市の下田海中水族館。営業課長の浅川弘さん(51)は「水槽に海水を送るポンプをはじめ電気の使用量が多く、影響は大きい」と指摘する。漁船の燃料費高騰や不漁を受けて餌の魚代が上がる懸念もあり、「こまめに電灯を消すなど小さな努力を積み重ねたい」と強調する。
裾野市の富士サファリパークは1日から園内を巡るバスと車の利用料金、小動物施設の入館料などを100~500円値上げした。広報担当の竹内大介さん(48)は「ガソリン代に加え、乾草や固形飼料のペレット、輸入肉類など動物の餌代が全般的に上がっている」と説明する。コロナ禍でも料金は据え置いてきたが、空調費などもかさみ、一部の改定を決めたという。
沼津市のあわしまマリンパークは4月から、大人入場料を200円、子供入場料を100円それぞれ値上げした。「無人島の水族館」で、来訪には渡船が必要。支配人兼館長の伊藤裕さん(48)は「消費増税以外の理由で入場料を上げたことはなかったが、船の燃料代高騰が大きかった」と話す。
各施設の入場者数は緩やかな回復傾向にあるものの、コロナ前に比べると、7~8割の水準にとどまっているという。光熱費の算定基準にもなるガソリン価格は高止まりし、混迷が深まるウクライナ情勢が物流の混乱や飼料不足に拍車を掛ける。関係者の間では苦境の長期化を覚悟する声も上がっている。