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清水港の新スタジアム 実現へ見えぬ道筋【解説・主張しずおか】

 静岡市清水区のエネオス清水油槽所遊休地に新サッカースタジアムを建設する構想。JR清水駅周辺の商店街などを中心とした盛り上がりに対して、実現までの道筋は見えない。老朽化した区役所や防災など複合機能を持たせる案もあり、期待に応えるには議論の加速が必要だ。

サッカースタジアム建設候補地として取り沙汰されることの多いJR清水駅東口のエネオス清水油槽所遊休地。巨大なタンク群はいずれも空で稼働していない=3日、静岡市清水区袖師町
サッカースタジアム建設候補地として取り沙汰されることの多いJR清水駅東口のエネオス清水油槽所遊休地。巨大なタンク群はいずれも空で稼働していない=3日、静岡市清水区袖師町

 JR清水駅前のアーケード街。シャッターが閉まりきりのがらんとした大きな空間が広がる。サッカーJリーグ1部(J1)清水エスパルスのオレンジ色のユニホームを着た地元ファンを見掛けるのは最近はまれだ。
 「公民連携でやっていきたい」。4月上旬の定例会見で記者から「民間での整備を考えているのか」と問われた田辺信宏市長はそう答えた。川勝平太知事も構想への賛意を繰り返し表明していて、“実体”がないまま行政は前のめりになっているのではないか。
 県内にはプロサッカーチームが複数、市内にも大型の競技場が複数箇所ある。税金をつぎ込むには公平性と「二重投資」と批判されない明確な目的が必要だ。ただ、まだ市民的、県民的議論に付されていない。
 市はようやく今月から検討委員会を設置し、適地や整備主体の検討に入る。ただ、JR清水駅東口を前提としつつ行政トップが財政出動を否定していない現状からは、ややちぐはぐな印象も受ける。
 大胆な提案かもしれないが、早期に建設予定地をJR清水駅東口に一本化すべきでは。場所が決まらないことには、2日に始まった清水区役所整備のための検討委員会でも複合施設化は選択肢になり得ない。そして、議論を加速させるためには民間がキャスティングボートをもう一度しっかり握ることだ。
 J1ガンバ大阪のパナソニックスタジアム吹田(大阪府)は大阪の経済界と個人の寄付金で建設された。ガンバ大阪の関係者は「運営会社や親会社だけではなく、地元経済界全体にムーブメントを起こすことが重要」とアドバイスする。
 経済規模からすれば、清水で民間だけで同じ4万人収容のスタジアムを建てるには無理があるが、全国には保育園やミネラル湯治施設が併設されたスタジアムもあり、複合施設化は時代の流れとも言える。区役所や防災機能面で行政とウィンウィンの関係になることは可能だ。
 新スタジアム建設構想を考える上で外せないのは、ことし創設30周年を迎えたチームと清水という土地に寄せる旧清水市民らの愛着。そうであるならばなおさら、民間主導の取り組みを期待しないではいられなくなる。

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