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テーマ : 教育・子育て

国際的教育プログラム「バカロレア」 静岡県内私立校で導入進む

 国際的な教育プログラム「国際バカロレア(IB)」が国内外で注目される中、静岡県内でも静岡サレジオ(静岡市清水区)が2022年春、幼稚園から高校までの一貫校としては国内初となる認定校になるなど、私立校への導入が進む。国際的に通用する大学入学資格を得られるだけでなく、主体的な探求学習によって思考や表現の幅の広がりが期待される。

自ら立てた問いと考察を発表する生徒。国際バカロレアは探求学習を重視する=5月31日、静岡市清水区の静岡サレジオ高
自ら立てた問いと考察を発表する生徒。国際バカロレアは探求学習を重視する=5月31日、静岡市清水区の静岡サレジオ高
国際バカロレア(IB)
国際バカロレア(IB)
自ら立てた問いと考察を発表する生徒。国際バカロレアは探求学習を重視する=5月31日、静岡市清水区の静岡サレジオ高
国際バカロレア(IB)

 「与謝野晶子はなぜこの歌を夫に向けて書いたのか、理由を考えました」。5月下旬、静岡サレジオ高1年の英語習得に特化した「ソフィアコース」の国語授業では、短歌の単元を学んだ生徒たちが自ら問いを立て、作品の時代背景や作者の価値観などを踏まえた考察を発表した。探求過程で生まれた新たな問いにも言及し、他の生徒は感想を皆で共有した。
 年齢などに応じた四つのプログラムで構成されるIBは、自ら課題を発見し、解決に導く方法を探して表現する探求型学習が特徴。16~19歳対象のディプロマ・プログラム(DP)は6科目中2科目を外国語で履修し、英語は大学入試よりレベルが高い。
 静岡サレジオ高1年の池島志文さん(15)は「授業ではいろいろな視点から深く考えられる。知識が広がり、表現する力もつく」と実感する。
 静岡サレジオ幼小中高を運営する星美学園の末吉弘治理事長は「母語での思考・判断・表現を徹底的に深く行い、英語をかぶせることで思考や表現の幅が飛躍的に広がる」と考える。その上で「幼少期からの途切れない教育の仕組みがより強固になった。日本の教育が変わるきっかけになれば」と熱く語る。
 県内では加藤学園暁秀中・高(沼津市)やエンゼル幼稚園(長泉町)もIBを導入。浜松市北区のクリストファーこども園や聖隷クリストファー小は候補校となり、2024年度の認定を目指している。
 一方、IBの認定に必要な条件は多く、教育課程の編成をはじめ指導できる教員の養成、学習環境や器具の整備、年会費などの費用が必要になる。県内の公立校にはIB認定校がなく、県教委は県立高への26年度の導入を目指し、22年度に導入校を決める計画だ。

 <メモ>国際バカロレア(IB)は、IB機構(本部・ジュネーブ)が世界の複雑さを理解、対応できる生徒を育成し、国際的に通用する大学入学資格を与えて進学ルートを確保するために作られた。学習指導要領が定める科目・単位に対応したIBの科目・単位がある。世界159以上の国・地域で約5500校が認定を受けている。国内のIB認定校と候補校は3月末時点で175校。政府は認定校や候補校を22年度までに200校以上に増やす目標を掲げた。

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