記者コラム「清流」 信頼される県になれ
静岡県庁の内情をよく知る県内の市幹部から最近、こんな話を聞いた。「かつて県には失敗したら辞表を出す不退転の決意で難しい案件に臨む職員がたくさんいた」
話のきっかけは熱海市伊豆山の大規模土石流。県の検証委員会が「県と市の対応は失敗」と総括した。いつの時代も立派な職員はいると信じているが、検証委は当時の県の姿勢を「『基本的に市の問題』とし積極的な対応を取らなかった」と厳しく批判した。
市は、県から移譲を受けた権限に基づき対応してきた。「身近な課題は身近な行政で」が地方分権の理念だが、高度な技術や専門知識が求められる事務は県が補完することもはっきりうたわれている。最前線に立つ市町が存分に力を発揮できるよう頼られる県、信頼される県であってほしい。