藤枝題材の浮世絵 早稲田大の石上さん解説 蓮生寺で講座
藤枝市の蓮生寺でこのほど、公開講座「考える浮世絵」が開かれ、同市出身の浮世絵研究者で早稲田大講師の石上阿希さんが藤枝を題材にした作品に基づいて解説した。
石上さんは、江戸時代末期の人気絵師三代歌川豊国による浮世絵「東海道五十三次之内藤枝熊谷直実」を提示。東海道の名所とゆかりの人物を演じる役者を組み合わせたシリーズの特徴や、瀬戸川を描いた藤枝の風景などを説明した。
平家物語に登場する熊谷は、一ノ谷の合戦で平敦盛を討った後、人生の無常を思い出家して蓮生と名乗った。石上さんは、熊谷が後に藤枝で立ち寄った屋敷が蓮生寺であることに触れた上で「絵に描かれている桜にも理由があるなど、浮世絵には読み解きたい仕掛けがたくさんある」などと興味を誘った。
この浮世絵を大学院生時代に1万円で購入したことも明かし「研究する立場から、1枚は買ってみたいと思っていた。真ん中に折り目が付いているからか、学生でも買える値段だった」などとユーモアを交えて紹介した。講座は地域の歴史や文化の体験プログラムを集めたイベント「藤枝おんぱく」の一環。市民ら約40人が聴講した。