マーマレード「金」7年連続 藤枝の工房店主、静大農場と連携
藤枝市五十海の「四季のジャム工房 やまゆスイーツ」の店主小野延子さん(47)がつくった2種類のマーマレードが、英国で3月に開催された世界的なコンテストで金賞に輝いた。金賞獲得は7年連続。多様なかんきつ類を研究栽培する静岡大農学部の農場と連携し、次々に新作を生み出していることが高評価につながっている。
コンテスト「ダルメイン・マーマレードアワード2022」で金賞を獲得したのは「へべず」と「ゆず&へべず」の2種類。ヘベズは宮崎県日向市原産の香酸かんきつ類。加工しても爽やかな酸味が残り、果皮の食感が柔らかいため「マーマレードに向いている」(小野さん)と開発に乗り出した。
藤枝市仮宿にある同大藤枝フィールドでは約70種のかんきつ類を育てていて、ヘベズもその一つ。八幡昌紀准教授によると、主に食酢に使用されるが「あまり使い道がなかった」という。小野さんにさまざまな品種を提供することで「新たな加工方法が見つかり、マイナーな果実に光が当たる可能性がある」と期待を寄せる。
小野さんは4年ほど前から農場を頻繁に訪れ、味見や試作に取り組んできた。これまでも同大のキンカンやカボスを使った作品で金賞を獲得している。珍しい品種が少量ずつではあるが数多く栽培されている環境に「存在を初めて知る果実も多い。挑戦する意欲をかき立てられる」と笑顔を見せる。
昨年から、同大大学院で農学を専攻する高橋理緒さん(22)=静岡市駿河区=がコンテスト出品用の瓶のラベルデザインを手掛けるなど、学生を巻き込んだ取り組みにも発展している。
コンテストは英国カンブリア州で開催され、例年約30カ国から3千点ほどの出品がある。小野さんは今年、2点の金賞のほか1点が銀賞、3点が銅賞に輝いた。受賞したマーマレードはいずれも数量限定で販売する。