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「普通の姿」を動画投稿配信 脳性まひの友人の生活ぶり紹介 入戸野元張氏【本音インタビュー】

 建築事務所を経営する傍ら、友人で脳性まひの障害がある大貫圭子さん(47)=浜松市中区=の生活ぶりやグルメチャレンジなどを紹介する動画を企画・撮影し、動画投稿サイト「ユーチューブ」に配信している。狙いを聞いた。

入戸野元張氏
入戸野元張氏


 ―きっかけは。
 「大貫さんの兄とは10年以上前からの友人で、浜松市内に大貫さんと兄、両親らが住む家を建てる仕事を請け負った。その後、大貫さんが1人暮らしをするというので相談に乗った。大貫さんは話しぶりが理性的で面白い。当時は仕事をしていなかったものの、収入を得て暮らしたいとの希望も強かった。私自身はけん玉やサーフィン、サイクリングなど趣味が多く、動画を撮影することにも興味があった。再生回数などが増えれば大貫さんの収入にもつながるのでユーチューブの配信を提案してみた。大貫さんからは、自分の姿を多くの人に知ってもらいたいと承諾を得た。昨年12月から、変わった料理を食べるとか、車いすの機能を紹介するといった動画を70本以上投稿した」
 ―反響は。
 「私たちのユーチューブチャンネルである男前Kチャンネルへの登録者数はまだ300人台。ただ、動画投稿の話が新聞などでも伝わると、経営者仲間や客、学生時代の恩師から面白く、有意義なことをしていると高評価をいただいた。家族も理解してくれている。共同経営者である妻は撮影所に軽食も差し入れてくれる。否定的な意見は今のところ寄せられていない。多くの人の協力や理解で活動が続けられている」
 ―目標は。
 「千人以上の登録と全動画の合計視聴時間で4千時間以上を目指している。動画に広告が付き始める目安とされるからだ。企画は大貫さんと相談して決め、彼女の体調にも気を配りながら週に1回ほど、2時間から3時間かけて撮影する」
 ―動画配信の活動をするようになって変わったことはあったか。
 「私の障害者に対する意識が変わった。大貫さんと親しくなるまで、障害者はみんなかわいそうだと勘違いしていた。大貫さんから、彼女の障害が先天性で彼女にとっては普通のことだと聞かされた。障害のある人と接するときも妙に構える必要はないのだと今では思っている。だから、以前の私のような考えの人にこそ動画を見てもらいたい」
 (聞き手=浜北支局・松浦直希)

 いりとの・もとはる 県外の大学で建築を学び、浜松市内のゼネコンに勤めた後、26歳で出身地の同市浜北区に建築事務所を構えた。同区在住。49歳。

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