特集 : 島田市

お茶くみ、炊き出し… 町内会・自治会に「女性部」必要ですか 時代に合わせて変えるべきでは?【NEXT特捜隊】

◆性別に関わりなく役を回してほしい


 「私の自治会には『女性部』があります。活動はお茶くみ、炊き出し、スポーツの点数付けなど性別に関係なくできる仕事。『女性部』という名前をやめ、性別に関わりなく役を回してほしいです」

 島田市大柳に住む女性から静岡新聞社「NEXT特捜隊(N特)」に声が寄せられた。投稿者は「時代に合わせて組織の在り方を変えるべき」と思っているが、人間関係の悪化を恐れて自治会で言い出せないでいるという。

 まずは市自治会連合会にこの意見への見解を尋ねた。同連合会は「自治会の活動内容はそれぞれの自主性によるもの」と回答した。連合会は各自治会を指導・監督する立場ではないとのことだった。

 やはり、自治会に直接訴えるのが近道か。大柳自治会に問い合わせた。

 この自治会では女性部活動が恒例のものとして続いていて、同様の意見が議題に上がったことはないという。ただ、自治会内では性別を問わず意見や苦情が寄せられることはあり「活動改善のためにも積極的に意見を寄せてほしい」とのことだった。

 「直接言いにくい」という投稿者の声を伝えると、匿名で投書できる目安箱設置を検討したいと回答した。

 ※記事の末尾に読後アンケートがあります。ぜひご参加ください


◆声を上げづらい… 染谷市長に相談した


 大柳自治会側は前向きに受け止めてくれたが、投稿者は直接意見することにためらいがあるようだ。声を上げなければ始まらないと分かっていても、地縁組織の中では声を上げにくい…。N特には女性部に関する同様の意見が多数寄せられ、多くの女性が悩む現状が浮かぶ。 どうしたらよいのか。染谷絹代・島田市長に相談した。【記事の最後に染谷絹代・島田市長の動画があります】


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染谷絹代・島田市長


Qこの意見への見解は?
 昔は女性が出掛ける機会が少なく、女性部・婦人部は楽しみの場でもあった。しかし現在は時代が変わった。男女平等の制度が進んだ一方、慣習が追いついていない部分があるのかもしれない。今は過渡期で、慣習に違和感を抱く女性はいるだろう。自治会運営には多様な意見が必要。役員を務める年配の男性方も、女性や若い人の意見を求めていると私は思う。

Q「声を上げにくい」という女性に助言を
 男性側には女性が違和感を感じていることに気付く配慮が、女性側には「目立ちたくない」「家庭の仕事がある」などと地域の役から逃げずに参加する姿勢が、それぞれ必要だと思う。女性が1人で声を上げにくいなら、何人かで集まって意見してみてはどうか。

Q市にできることは?
 市は自治会を指導する立場ではない。しかし、性別役割分業意識を取り除く啓発事業や「自治会役員女性参画推進奨励補助金」など自治会活動に女性の声を取り入れる支援制度を進めている。どうしても地域で直接声を上げにくいなら、市は匿名で寄せられた意見・相談を自治会に伝えることはできる。ただ、女性自身も違和感があるならばやはり声を上げなければ変わらない。

<メモ>島田市の自治会役員女性参画推進奨励補助金 会長、副会長、会計といった役員に女性登用した自治会に、年間10万円の補助金を交付する制度。2016年度から実施している。対象は、規約に女性の役員登用を明記して2人以上の女性を役員に登用した自治会、もしくは総会等で女性を毎年役員に登用することを決議して2人以上の女性を役員に登用した自治会。


◆減少傾向だが、あえて新設の例も


 女性部・婦人部のような女性限定の組織や役職はどこにでもあるのだろうか。

 静岡県内全市町の担当部署や各地の役員に問い合わせたところ、市町内の町内会・自治会に一部でも「ある」と回答したのは23市町、「不明」が11市町。「ない」と回答したのは東伊豆町だけだった。存在や数を正確に把握していない市町がほとんどだったが、「減っている」「一部で廃止された」などの声が多く、減少傾向にあるとみられる。

 富士市では地域活動の縮小などを背景に、2000年代後半に比べ、5分の1程度に減っているとみられる。廃止により、これまで婦人部が担っていた祭りのまかない準備に男性が参加するケースもあるという。

 藤枝市ではこれまで全町内会に、市長からの委嘱で健康啓発活動を行う役職「女性保健委員」があった。しかし、市民や市議から「時代に合っていないのでは」などの指摘があり、昨冬に「保健委員」と改名して性別を問わないこととした。


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活動を振り返る見付地区女性防災委員会の夏目裕子さん(中央)ら=磐田市


 一方、あえて女性組織を新設する事例もある。磐田市見付地区では自治会から女性を募って昨年度、見付地区女性防災委員会が発足した。発起人は見付地区の夏目裕子・西坂町自治会長(67)だ。

 これまで約15年間にわたり地域のさまざまな役職を引き受けてきた夏目さん。地域の集まりの場に出てくるのが男性ばかりの状況に違和感を覚えていた。「防災をはじめ、地域づくりには性別を超えた協力が必要」。強い思いで、回りの自治会長に女性防災委員会の設置を提案。発足にこぎつけた。

 昨年度は4回の活動で30~70代の会員10人が、災害時の簡易トイレの作り方や自動体外式除細動器(AED)の使い方を学んだ。本年度はペットの避難や防災食をテーマに活動する予定という。夏目さんは、男性の補佐ではなく女性も率先して行動する意義を強調し「組織の名前に『女性』と付けなくても、自然と女性が地域活動に参加するのが理想」と思いを語る。


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 静岡市葵区の60代女性から「町内会の新役員探しに苦労している」という声が寄せられ、静岡新聞社「NEXT特捜隊(N特)」はこれまでに、①静岡県内各地の町内会による役員の担い手確保の取り組み②市町による支援の萌芽③各地から寄せられた町内会・自治会のお悩みやご意見―を紹介してきました。今回は町内会シリーズ第4弾として「女性部・婦人部」を巡る課題について取り上げました。


◆取材記者による音声配信はこちら◆


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