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伊豆の国「大河ドラマ館」3カ月で来場5万人 市の魅力、複合的発信を【解説・主張しずおか】

 伊豆の国市ゆかりの鎌倉幕府第2代執権北条義時が主人公の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放映に合わせて市推進協議会が韮山時代劇場内に設置した大河ドラマ館の来場者が、開館から約3カ月で5万人に達した。新型コロナ禍のさまざまな制約を受ける中、関係者は「予想以上の来客数」と受け止めている。期間限定の設置ながら市内有数の集客スポットになった大河ドラマ館を、市の魅力を複合的に発信する場として存分に活用したい。

大河ドラマ館がある韮山時代劇場。休日を中心に市民が企画するイベントを開いている=4月下旬、伊豆の国市
大河ドラマ館がある韮山時代劇場。休日を中心に市民が企画するイベントを開いている=4月下旬、伊豆の国市

 大河ドラマ館は1月15日にオープンした。同27日から県内にも適用されたまん延防止等重点措置の影響で団体客はほとんどキャンセルになったものの、オープン18日目の2月1日には来場者1万人に到達した。市によると、3月下旬の春休みシーズンから多い日で団体ツアーが7、8件入るようになり、1日で1200人以上が入館する日もあった。
 市の調査によると、3月の来場者の割合は県内と県外でおおむね半数ずつ。オープン当初と比べて県外客の比率が高まっているという。4月末から5月上旬の大型連休について、市は家族連れを中心とした個人客が多く訪れると予想する。
 韮山時代劇場では週末を中心にキッチンカーなどが並び、地域団体がステージ発表を行うなど市民が盛り上げに一役買っている。感染防止対策で来場者が集中する時間帯は大河ドラマ館の入場制限を実施するため、待ち時間を飽きさせない効果もある。山下正行市長は「いろいろな分野の人から『みんなで盛り上げよう』という一体感を感じられる。まちが一つの目的に向かうことに価値がある」と強調する。
 市によると、大河ドラマ館の来場者数に比例して市内の関連史跡などの来場者も増加しているという。来場者数の減少が続いていた世界遺産・韮山反射炉にもわずかながら明るい兆しが見え始めている。市観光文化課大河ドラマ担当の佐藤健太主幹(43)は「大河ドラマを一つのきっかけとして、市全体のPRにつなげることが大切」と訴える。
 それぞれ特徴のある旧3町が合併して誕生した伊豆の国市。いまひとつまとまり切れていなかったまちが、大河ドラマをきっかけに一つになろうとしている。年内は続くであろうこの追い風に乗らない手はない。義時もきっと、故郷の盛り上がりを見守ってくれているはずだ。
 

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