浜松まつり縮小開催、遠い高揚感やきもき 若者、消費戻らず
新型コロナウイルスの感染防止対策で、規模を縮小して開かれる浜松まつり(5月3~5日)。本来はかき入れ時のはずの浜松市内の祭り用品店や酒蔵、仕出し業者は「いつまでコロナ禍が…」と恨めしそうだ。昨年は無観客だった凧(たこ)揚げ会場は3万人を上限に入場を認めたが、夜の中心街の御殿屋台引き回しは今年も中止に。「これでは若者の参加は増えない」「飲食は伸びない」など、関係者からため息が漏れる。
浜松まつり関連の売り上げがコロナ前の1割程度まで落ち込んだという祭り用品店「祭すみたや」(同市中区)の中川晋介社長は「若い客が全然戻ってこない」と嘆く。
大凧の勇壮な糸切り合戦や、参加者が掛け声とともに威勢良く体をぶつけ合う「練り」は密が避けられず、今年も禁止された。中川社長は「飲酒の制限もあって楽しみが減り、参加を見送る人は多い。例年なら衣装を買い込んでくれる女性は特に慎重」と話す。
コロナ前は多くの町が本番の約1カ月前から、会所開きや準備作業の集まりで酒や総菜を注文した。初子を祝う振る舞いには樽(たる)酒が欠かせなかったが、花の舞酒造(浜北区)の広報担当者は「以前600本ほどあった注文は、ほとんどない」と明かす。オードブルが好評の「いづみ食品」(西区)は、仕出し部門の売り上げがコロナ前から8割以上減った。中野正勝社長は「こんな状況が3年も続いたら、(収束しても)元に戻るとは考えにくい」とみる。
一方、老舗凧製造の一瀬堂(中区)は例年の4割程度ながら、約60枚の大凧の注文が入った。「来年以降の復活につなげる大事な時と感じている」と同店の古橋通悦さん(45)。開催方針の決定後に注文が殺到したため、凧から離れた職人を呼び戻し、フル稼働で製作に当たった。「納期に間に合わせることで精いっぱい。今年を乗り越えても製造技術の継承など課題は多い」と口元を引き締めた。