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熱海土石流 第三者委、最終報告は市の作業完了待ち 遺族「早く検証結果を」

 熱海市伊豆山の大規模土石流で、静岡県や同市の行政手続きのあり方を検証している第三者委員会。28日に開かれた第3回会合では、同市による内部調査が遅れていることが影響し、県土採取等規制条例など多くの個別具体的な検証結果の報告は先送りされた。市の検証作業が完了し、委員会の最終報告が出るのは5月以降になりそうで、遺族からは早期の取りまとめとともに、災害防止などにつながる具体的内容の提示を求める声が上がった。

中間報告の内容を説明する青島伸雄委員長(右)=28日午後、県庁
中間報告の内容を説明する青島伸雄委員長(右)=28日午後、県庁

 県は2021年12月末の初会合時までに、検証結果の取りまとめ時期の見通しを21年度内としたが、熱海市の調査作業が復興や市議会が設けた百条委員会への対応のために遅れた。中間報告では、県土採取等規制条例や県風致地区条例、森林法に関する個別の論点に加え、県と熱海市の連携・協力体制に関する報告を「市の結果を踏まえて調整」として結論を持ち越した。
 金井慎一郎副市長は4月中を目標に作業を完了すると強調した一方、中間報告への受け止めについては「市の結果が出せていないので感想は差し控える」と述べるにとどめた。
 第三者委員会の青島伸雄委員長は最終報告書の取りまとめに向け、「事情は聞いているが、なるべく早くとお願いしている。おそらく(検証作業の)メインはこれからになる」と捉えた。
 遺族、被災者でつくる「被害者の会」会長で、母の陽子さん(77)=当時=を亡くした瀬下雄史さん(54)=千葉県=は、中間報告で県と市の連携不足や縦割り行政の弊害が浮き彫りになったとして「不作為を認めたと言えるのでは」と一定の評価を示した。
 県の公文書では、住民の生命財産に危険が及ぶ可能性があるとの認識を市と共有していたことが記されている。瀬下さんは「危険の原因排除が難しかったのであれば、住民にリスクを周知すべきだった」と改めて憤り、市には「復旧復興計画の前提に今回の検証があるはず。地域の安全安心を確保するため、しっかりとした検証結果を早く出してほしい」と強く要望した。

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