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テーマ : 函南町

函南駅周辺整備 生かせぬ好立地の魅力【迫る 函南町長選㊦】

 西に三島駅、東に熱海駅―。JR函南駅は新幹線駅に挟まれ、伊豆縦貫道の大場・函南インターチェンジも車で約5分とほど近い。これほどの好立地なら町並みはさぞ盛況だろうと思いきや、駅の周辺は深刻な過疎化が進んでいる。

他地域へのアクセスは良好だが過疎化が進むJR函南駅=函南町
他地域へのアクセスは良好だが過疎化が進むJR函南駅=函南町

 約20年前の住宅地図を見ると、駅南側の道路沿いには商店がずらり。地元大竹区の田中正典区長(63)によると、「以前は魚屋、八百屋、肉屋など生活に必要な物は近くに何でもあった」という。それが今、景色は様変わりした。周辺道路やトンネルの拡幅で商店は転出を余儀なくされ、町並みは寂れた。「開発で便利になれば人が集まるはずなのに…」。同区に住む杉山憲教さん(71)は違和感を抱く。
 最寄りの桑村小は戦後のベビーブームで一時、450人の児童が通っていたが、2022年度は全学年で80人になる見通し。都会の大学を卒業して戻ってくる若者も少なく、過疎化は深刻さを増している。新幹線を使えば東京まで1時間、三島や熱海に一駅という好立地の魅力も、にぎわいの創出につながっていない。
 函南町によると、駅の周辺については、町総合計画でも土地利用の必要性が指摘されているが、「中長期的な課題。コストの問題などもあり、すぐにとはいかない」(町都市計画課)。国鉄民営化に伴い、町が買い取った駅南側の町営駐車場の土地は、駅利用者のために使用するのが条件。北側の傾斜地も農振農用地のために法規制が厳しく、自由な開発は難しい。
 地元では地域活性化ワークショップも立ち上がり、住民がさまざまな提案を続ける。同ワークショップの杉山隆章副会長(73)は「住民も協力するが、ゼロをイチにはできない。そこは行政のやる気次第だ」。将来を見据えたまちづくりへ、町の“本気度”が試されている。

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