校内自主清掃3千日 柿島教諭(富士市立高)3月末で定年退職

 勤務する学校の清掃を自主的に続けてきた富士市立高の柿島由和教諭(60)が3月末で定年退職を迎える。出勤日に休まず取り組んだ清掃活動は14年間で通算3千日を超えた。柿島教諭は「掃除を通して人間力を教える」と、継続の大切さを自ら示し、ごみ拾いやあいさつを率先してできる生徒の育成に力を注いだ。

校舎を生徒と掃除する柿島由和教諭(右)=2月下旬、富士市立高
校舎を生徒と掃除する柿島由和教諭(右)=2月下旬、富士市立高

 「おはよう。部活動の大会はどうだった」。2月下旬の朝、柿島教諭はいつものようにほうきを手に、登校する生徒を迎えた。清掃は午前7時半からの約30分間、玄関や廊下、駐輪場など、毎日場所を変える。丁寧にごみを集め、しつこい汚れは水拭きする。
 柿島教諭は1988年に銀行員から高校教諭に転身した。あいさつができない生徒や職員の存在が目に付いたが、注意しても効果は乏しかった。
 転機は2007年に聞いた車用品販売店「イエローハット」創業者の鍵山秀三郎氏の講演。トップが誰よりも早く出社してトイレ掃除をする姿に感銘を受け、「教える立場の自分が変わらないと説得力がない」と勤務していた吉原高で掃除を始めた。
 柿島教諭の活動は生徒に変化をもたらした。11年に着任した市立高ではあいさつをせず、人前でポイ捨てする生徒も目についた。毎日の掃除を地道に実践するとともに、授業で熱心に「利他の精神を育む」と清掃の意義を示し続けると、あいさつを返し、校内でごみを拾う生徒が増えてきた。柿島教諭は「生徒の集中力も向上した」と感じている。
 柔道部は毎週月曜、部全体で掃除に取り組む。同部2年の石川楓花さん(16)は「掃除を通して気配りができるようになった。先生が退職しても続ける」と誓う。
 退職後は自身で開催する市街地での清掃イベントを続け、「心を磨く掃除の意義を広めたい」と意気込む柿島教諭。「生徒に信頼される大人になれたかな」と信念を貫いた教員生活を振り返った。

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