爆撃の一報「まさか」 母国の惨事に家族案じる 静大浜松キャンパス研究員・グナチュークさん ウクライナ侵攻

 「まさか、いきなり爆撃とは」-。24日昼、ウクライナの首都キエフがロシア軍から攻撃を受けたとの報道に、静岡大浜松キャンパス(浜松市中区)の大学院光医工学研究科で学術研究員を務めるヴォロディメル・グナチュークさん(58)=同区=は言葉を失った。キエフには妻と子が暮らす。母国の状況を固唾(かたず)をのんで見守る。

キエフが攻撃を受けたとの一報が入った直後、母国ウクライナの状況を確認するヴォロディメル・グナチュークさん=24日午後1時半ごろ、浜松市中区の静岡大浜松キャンパス
キエフが攻撃を受けたとの一報が入った直後、母国ウクライナの状況を確認するヴォロディメル・グナチュークさん=24日午後1時半ごろ、浜松市中区の静岡大浜松キャンパス

 現地情勢を報じる記事をインターネットで見て、「何らかの攻撃を受けるかもしれない」と案じたのが同日朝。午後1時すぎ、それが現実になった。母国のニュースサイトをスマートフォンで確認するその手は、不安で小刻みに震えていた。
 キエフの妻や2人の息子とはスマホのメッセージアプリなどで連絡は取れた。戒厳令が発令された影響もあってか、妻子は比較的安全とされる国内西部に避難できなかった。
 「キエフなどでは市民が爆撃を受ける恐れもある」と声を落とすグナチュークさん。戦闘に市民が動員されるとの情報もあり、「息子が徴兵されれば戦闘で死ぬかもしれず、心配で仕方ない」と不安の色を隠せない。
 県と浜松市によると、ウクライナ国籍の在住者は県内に29人(2020年末時点)。うち10人程度が同市内で暮らしている。グナチュークさんは18年から静岡大を拠点とし、放射線に関する研究を行っている。
 グナチュークさんの祖父は第2次世界大戦で戦地に赴いた。「戦争は人類にとって良いことは何一つない。あるのは多くの人々を殺(あや)めるという事実だけだ」。亡き祖父のそんな言葉を思い返したという。
 日本での就労ビザは5月に切れる。だが、ロシア軍が侵攻した今、母国には戻れない可能性が出てきた。家族の安否を案じつつ、新たな研究場所を確保できるか不安もある。グナチュークさんは「日本は安全が約束されている。だが世界には、キエフのように爆撃を受ける街もある。平和が当たり前でないという事実を、どうかかみしめてほしい」と訴えた。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ