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テーマ : 清水エスパルス

⚽静岡ダービー名物 ダブル実況とは【SBSアナウンサー対談㊥】

実況資料を囲み対談する(左から)山﨑加奈、大石岳志、岡村久則の各アナウンサー
実況資料を囲み対談する(左から)山﨑加奈、大石岳志、岡村久則の各アナウンサー

山﨑加奈 SBSラジオの「ダブル実況」。どういうスタイルか改めて教えてください。
大石岳志 解説者と実況アナで進めるのがサッカー中継の基本ですが、ダブル実況は2人のアナウンサーがそれぞれの担当チームを応援しながら実況します。自分の担当チームがボールを持っている時だけしゃべり、ボールが相手に渡ったら黙るというのがルール。解説者はいません。
岡村久則 今回は磐田を大石アナが、清水を私が担当します。
山﨑 SBS名物で、全国を見てもあまり聞いたことがない形ですよね。
大石 1996年11月9日の静岡ダービーで誕生しました。先輩アナウンサーがダービーを盛り上げる企画をと思い付き、その先輩と私で初めてやりました。サッカーでこういう形で始めたのは恐らく日本で初めてだと思います。年に多くて2回、お祭り的なダービー中継の代名詞になっていますね。
山﨑 いつもの実況との違いは?
岡村 やっぱり相手のアナウンサーを意識しますよね。相手が上手に情景描写をしていたりすると、「負けられない」といつも以上に力が入ります。得点シーンで、相手よりも「ゴール」の声を大きく言ってやろうなんて思うこともありますよね(笑)。
大石 自分の担当チームが劣勢でも、放送上では優位に立とうとします。ちょっとでも有利に感じられる情報や過去のデータをお伝えするようにしたりますね。
山﨑 先輩や後輩でのダブル実況は気を遣いますか?
大石 先輩と担当する時、言い過ぎすると放送席が微妙な空気になってくるし、でもバトルしないとダブル実況の面白味がなくなるし。後輩との際は、少し大人の対応でやりやすい雰囲気を作りますよ。でも担当チームが得点を決めたらしゃべり倒しますけど(笑)
岡村 やっぱり気を遣いますよね。私は2007年9月1日のエコパでの試合で、静岡ダービーを初実況しました。テンポよく実況する磐田担当の先輩アナウンサーに正直、気後れしながら話していました。試合終了間際にチョ・ジェジン選手が決勝点を決め、最後の最後、どうにかこうにか形になるゴール実況ができたと思えました。実況をしていく自信が付いた経験でした。チョ・ジェジン選手のあの得点は、チームも、私も、救ってくれました。
大石 放送席もダービーしているよね。実況アナの誇りを懸けたね。
岡村 それでも相手のチームのミスを喜んだりする実況は誰もしませんよね。むしろ見事な得点には担当関係なく、そのゴールの素晴らしさをたたえます。
山﨑 私も精進して、いつかチャレンジできるかな。お互いにどういう実況アナウンサーと見ていますか。
大石 岡村アナはさまざまな競技の実況を経験していて、安定感があります。スポーツ実況のオールラウンダーです。
岡村 大先輩に褒められ照れくさいです。大石アナは、実況の教科書ともいうべき端正な実況をされます。非の打ち所がない実況です。30歳でJリーグ初実況の際、数カ月間集中的に指導してもらい基本を教えていただきました。尊敬するアナウンサーです。
山﨑 ダービーの実況にはお2人とも特別な思いを持たれているんですね。
大石 まさにアナウンサー冥利。白熱する試合、放送席でもアナウンサー同士がバトル。でも最後にはともに勝者をたたえ、敗者には次節への期待をしっかり届ける。ノーサイドの精神を持ってやっています。
岡村 SBSのスポーツアナウンサーとして最高の舞台。他の試合とは違う緊張感、ワクワク感に奮い立たされます。今回(26日)は私の実況の師匠、大石さんとのバトルが楽しみです。チャレンジャーの気持ちで臨みます。

実況の舞台裏 資料作り念入り


山﨑 私は昨年、しずおか市町対抗駅伝で初めてスポーツ実況をしました。事前に作った資料の1割もしゃべれませんでした。お二人はどんな準備をして実況に臨んでいますか。
大石 私は担当の試合の1カ月前くらいから準備に入ります。恐らく他の人より早く準備を進めるタイプかな。細かい所まで調べて資料に落とし込んでいきます。
岡村 私は資料作りは1週間前くらいからスパートを掛けます。ただ、全体の流れをつかむために、情報はシーズン通してチェックし続けていますね。資料は結構な量作りますが、実況中はあまり見ませんね。作成しながら頭に叩き込んでいくイメージです。
大石 そう、作りながら覚えていくよね。私は試合当日、スタジアムに必ず持っていくのがはさみとのり。試合のメンバーが発表されたら、事前に作成しておいた資料を切ったり貼ったりして時間ギリギリまで最後の仕上げをします。
山﨑 実況はどんな練習をしているんですか
岡村 前の試合の映像を見ながら練習したり、自分の中で仮想の試合展開を作りながら、選手の動きを口ずさんで喋る練習をしています。放送に出ていない時間は何しているんですかとよく聞かれるんですが、実はそういう準備に費やす時間の方が長いです。

※静岡ダービーSBSアナウンサー対談 ㊦は24日に掲載予定です。
※23日の静岡新聞朝刊に対談のダイジェストを掲載しました。こちらもぜひご覧ください。

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