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伊東のブランド 市民全体への波及期待【湧水】

 伊東市の観光協会や交通・旅行事業者などが観光庁の事業採択を受けて、市民に地域資源や魅力を再認識してもらい、意識の共有を図る「インナーブランディング」の取り組みを進めている。新型コロナウイルス禍で観光産業の在り方そのものが見直される中、長期的な視座で、新たな時代に即した観光地としての地位を確立していってほしい。
 活動の軸になるのは、市の観光事業者や市民団体の関係者らでつくる市ブランド研究会が作製した観光ブランドブック。研究会は市の観光をブランドとして磨き上げ、市民の宝物として次世代につなぐために2019年に発足した。56ページの冊子に、市の成り立ちから歴史を追って地域資源をまとめ、共通シンボルとなるロゴの活用事例を盛り込んだ。
 市民向けの周知に向けては、ラッピングバスの運行や鉄道車両での中づり広告の掲出をしている。車体を使ってブランドブックをPRしたり、バスや電車内の広告スペースを活用して同ブックの内容を伝えたりと、市民の目に付く場所に配置することで認知度を高めている。
 取り組みの一環で今月中旬に行ったモニターツアーでは、市南部の観光事業者らが市内の当該地以外のエリアを訪れた。参加した16人の複数から「長く住んでいるが、知らないことが多い」「行っていないところがたくさんある」といった声が聞かれた。
 研究会はブランドブックで、価値を提供する地域と提供される観光客が、魅力について共通のイメージを持つことの重要性に言及している。外部に向けた発信の際には、やはり市民の共通理解や機運醸成が欠かせない。モニターツアーはスタッフを含めた参加者同士が関わり合いを持ち、関係を構築することも目的の一つだという。
 こうした積み重ねの先に、だんだんと理想とするまちの実現が見えてくるはずだ。市民全体に波及していくかどうか、今のうちから注目している。

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