外国人の進路、希望に道筋 静岡県キャリア教育事業1年

 非正規雇用が多く、不安定な立場に陥りやすい外国人を支援しようと、県が新型コロナウイルス禍を受けて、外国人学校の生徒を対象に始めたキャリア教育事業。開始から約1年が経過し、地元企業の協力で希望の進路をかなえる生徒が出るなど、成果が少しずつ見え始めた。

バラ農園での仕事に精を出すビクトル・ヒリアキ・オオシロ・ブラスさん(左)と代表の岡部洋介さん=1月初旬、浜松市西区
バラ農園での仕事に精を出すビクトル・ヒリアキ・オオシロ・ブラスさん(左)と代表の岡部洋介さん=1月初旬、浜松市西区

 1月初旬、浜松市西区のビニールハウス。半袖姿で新しいバラの苗を植えるための培土を黙々と並べるのは、同市東区のブラジル人学校「伯人学校イーエーエス浜松(EAS)」を卒業したばかりのビクトル・ヒリアキ・オオシロ・ブラスさん(19)。ビクトルさんはバラ栽培を手掛ける西区のカシマばら園芸で1月から、研修の形で働き始めた。
 同農園代表の岡部洋介さん(42)が2年をかけてバラの生産方法や管理、農業運営を教え、新規就農を後押しする。「土に触れることが大好きみたいなので、やる気を見込んだ。彼が将来的に安定を得られるまで見守りたい」と話す。
 自然が好きで、農業関連の仕事がしたかったというビクトルさんは「花がかっこいい。楽しいです」と笑顔を見せる。仕事を覚えることと、日本語の上達が当面の目標だ。
 ブラジルの学校では日本のようなキャリア教育や進路指導を行わない。EASによると、卒業後に就労する生徒のほとんどが、親と同じ派遣会社で働くという。県の事業は生徒の選択肢を広げるのが狙いで、日本語の授業に加えて企業でのインターンも実施した。ビクトルさんも就業体験を通じて、仕事への理解を深めた一人だ。
 コロナ禍では、派遣で働く外国人が契約を打ち切られたり、仕事が減ったりした。一方、ブラジル人になじみの薄いキャリア教育は保護者の理解を得にくく、その点が今後の課題だという。EASの担当者は「生徒の豊かな将来を作るために継続して取り組み、実績をつくりたい」と語る。

 <メモ>県による外国人生徒向けのキャリア教育事業 「新型コロナに負けない外国人生徒未来応援事業」として、2020年10月に浜松市と磐田市のブラジル人学校でスタートした。21年4月からは県西部の外国人学校6校に対象を広げた。外国人生徒が職業観を身につけ、安定した収入を得ることや、希望する職種で活躍することを目指す。

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