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テーマ : 牧之原市

牧之原市 脱炭素推進に市民の理解促進不可欠【黒潮】

 昨年、2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにすることを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言した牧之原市。杉本基久雄市長は7日の定例記者会見で、今年の一文字として「脱」を掲げ、脱炭素社会実現に向けた取り組みをさらに加速させる意志を鮮明にした。目標達成のためには市民らの協力が不可欠となる。脱炭素に対する意識を共有し、一体となった施策の実現に期待したい。
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は昨年、報告書を発表し、異常気象を引き起こす要因となる温暖化について人類が放出した温室効果ガスに原因があることに「疑う余地がない」と断じた。市内でも同5月、竜巻とみられる突風が複数箇所で発生する異例の災害に見舞われ、住民生活に大きな被害を与えたことは記憶に新しい。
 市は05年の市制施行直後から、環境対策に力を入れてきた。07年には県内の自治体で初となる環境省の「エコアクション21」を取得。電力の地産地消を掲げ、太陽光やバイオマスなどといった再生可能エネルギーの普及を強化してきた。
 このような取り組みが進む中、より一層重要視しなければならないのが、市民の理解促進だ。日常生活の利便性は増す一方で、膨大なエネルギーを消費しているのも事実だろう。電気自動車(EV)や省エネ家電が次々に登場しているが、誰もがすぐに購入できるものばかりではない。
 しかし、日々の生活を振り返る中で、少しでも改善できることが誰にでもあるはずだ。市民の脱炭素への意識を醸成する機会を創出するとともに、こうした動きを一過性のものにしない環境づくりにも注力してほしい。
 気候変動の深刻さが広く共有され、全国の自治体や企業で「脱炭素」に向けた動きが活発化し、あらゆる面の技術革新が急速に進むと見込まれる。新たな技術の有効性を適切に見極め、耕作放棄地など市が抱える課題の解決にもつなげていく必要がある。「脱炭素元年」と位置づけた今年、一丸となった活動が次々と芽吹き、育ってほしい。
 

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