墓碑銘2021 橋田寿賀子さん/古賀稔彦さん/大石又七さん

 最高視聴率63%を記録した「おしん」など名作ドラマを手掛けた脚本家の橋田寿賀子、バルセロナ五輪柔道男子金メダリストの古賀稔彦、米国のビキニ水爆実験で被ばくした焼津港所属の遠洋マグロ漁船「第五福竜丸」元乗組員で核兵器廃絶を訴え続けた大石又七-。2021年、それぞれの分野で確かな功績を刻んだ県内ゆかりの人々が逝った。 (敬称略、年齢の次は死去した月日、芸能人らは本名略)

熱海市の自宅前で撮影に応じる橋田寿賀子=2019年11月
熱海市の自宅前で撮影に応じる橋田寿賀子=2019年11月
古賀稔彦
古賀稔彦
大石又七
大石又七
熱海市の自宅前で撮影に応じる橋田寿賀子=2019年11月
古賀稔彦
大石又七


地方自治


 元藤枝市長の八木金平(100歳、9・16)は市立病院の移転・新築のほか、総合運動公園の建設やJR藤枝駅を中心としたまちづくりに手腕を発揮。元下田市長の池谷淳(89歳、6・4)はペリーロードの修景に努めた。元舞阪町長の伊藤賢太郎(88歳、8・1)は浜名湖養魚漁協組合長や日本養鰻漁協連合会長を務め、ウナギ養殖事業の発展にも貢献した。元川根町長の河野敏郎(86歳、4・30)、元中伊豆町長の海瀬英治(90歳、8・12)、元西伊豆町長の藤井武彦(78歳、10・12)、元本川根町長の松岡武平(97歳、11・14)、元藤枝市副市長の大石博正(77歳、6・25)、旧西伊豆町助役の斎藤和男(91歳、3・13)、元富士市収入役の若林義治(94歳、3・6)も他界した。
 元長泉町議会議長の芹沢智明(85歳、10・3)は町文化センター「ベルフォーレ」開館に尽力。元河津町議会議長の正木太助(98歳、1・1)と板垣実(88歳、10・18)、元御殿場市議会議長の小林清次(91歳、1・3)と勝間田昭男(92歳、2・19)、斎藤寛一(86歳、12・7)、元伊豆市議会議長の杉山羌央(75歳、1・26)、元可美村議会議長の岡部藤助(95歳、2・3)、旧浜松市議会議長の中村圭介(88歳、3・17)、元龍山村議会議長の藤原久一(91歳、3・24)と泰沢喜代士(84歳、11・2)、元下田市議会議長の森温繁(76歳、3・29)、元富士市議会議長の前田徳治(87歳、5・17)、旧西伊豆町議会議長の山本真次(94歳、5・21)、前伊東市議会議長の佐山正(72歳、7・10)、元賀茂村議会議長の山地修身(84歳、8・8)、元豊田町議会議長の鈴木茂徳(82歳、9・24)、元小山町議会議長の込山恒広(91歳、10・8)、旧磐田市議会議長の鈴木進吾(91歳、11・3)と飯田実(90歳、12・7)、元磐田市議会議長の小野泰弘(69歳、11・21)も世を去った。

経済


 アオキトランス前会長の望月薫(85歳、1・13)は清水港客船誘致委員会の設立時から会長に就き、大型客船が清水港に多数立ち寄るようにした立役者。前日専連静岡社長の森恵一(72歳、4・19)は、静岡市の企業や商店街、行政でつくる「I Love(アイ・ラブ)しずおか協議会」の会長を務め、中心市街地のにぎわいを創出した。元遠州信用金庫理事長の山本長行(79歳、11・17)は県公安委員長や県西部地域しんきん経済研究所(現しんきん経済研究所)の初代理事長を歴任。前沼津信用金庫理事長の堀田大洋(78歳、3・15)は地域の中小企業支援や産業振興に貢献した。三島信用金庫名誉顧問の峰田武(87歳、11・29)は、三島商工会議所会頭や佐野美術館名誉会長にも就いた。元静清信用金庫理事長の高橋晋(88歳、10・17)、元県労働金庫理事長の加藤幸博(68歳、1・9)も逝去した。
 元県農業協同組合中央会長の山田勇次郎(86歳、9・12)は田子の浦埠頭社長や田子の浦港利用促進協議会長として物流業振興や港湾振興に当たった。元富士市農業協同組合代表理事組合長の大石真吾(76歳、6・29)、沼津市の水産業をけん引した元羽野水産社長の羽野久雄(87歳、3・15)、釣り具販売の「イシグロ」を創業した石黒福芳(96歳、7・30)も他界した。

文化


 熱海市を生活や執筆活動の拠点としていた脚本家の橋田寿賀子(95歳、4・4)は「おしん」「渡る世間は鬼ばかり」などの人気テレビドラマを手掛けた。「かたき同志」など舞台脚本でも活躍し、2020年に文化勲章を受章。新進脚本家らを育成する「橋田文化財団」の運営にも力を注いだ。「北の宿から」などで知られる作曲家の小林亜星(88歳、5・30)は静岡産業大10周年記念のキャンパスソングや伊東市制50周年記念のイメージソングを制作。同大客員教授も担った。ジャズのビッグバンド「原信夫とシャープス&フラッツ」を率いたサックス奏者の原信夫(94歳、6・21)は浜松市音楽文化顧問、アクトシティ音楽院音楽監督を歴任。「ハママツ・ジャズ・ウィーク」でも市民の輪の中心に立った。同市出身の映画監督沢井信一郎(83歳、9・3)は歌手松田聖子主演の「野菊の墓」(1981年)でデビュー。「Wの悲劇」(84年)「早春物語」(85年)などの娯楽映画で一時代を築いた。掛川市出身のソプラノ歌手伊藤京子(94歳、7・25)は静岡国際オペラコンクールの審査委員長、県民オペラ芸術監督のほか、常葉学園短期大や静岡文化芸術大の客員教授などを務めた。
 水墨による抽象表現で国際的評価を得た美術家の篠田桃紅(107歳、3・1)は随筆家としても知られる。沼津市役所特別応接室に壁画の大作「泉」が設置されている。静岡市出身の彫刻家掛井五郎(91歳、11・22)は「蝶」で高村光太郎賞、「立つ」で中原悌二郎賞を受賞。県立美術館など全国17都道府県の公共施設などに作品が置かれている。著述家の森信勝(82歳、7・26)は2014年に静岡新聞社から発行した著書「静岡県鉄道軌道史」が地方出版文化功労賞の特別賞に輝いた。焼津市出身で日本将棋連盟県支部連合会長の青島篤男(74歳、7・16)は将棋文化の普及や将棋人口拡大に寄与した。

研究・教育


 1954年にビキニ環礁で水爆実験による放射性降下物「死の灰」を浴びた焼津港所属の「第五福竜丸」元乗組員の大石又七(87歳、3・7)は、各地の学校や集会などで700回以上の証言活動を重ねた。著書も5冊を出版し、核兵器の恐ろしさを伝え続けた。東京大名誉教授で元地震予知連絡会長の茂木清夫(91歳、6・6)は地震防災対策強化地域判定会の会長も担い、想定東海地震の監視に注力。ジャーナリストの北岡和義(79歳、10・19)は米国でロス疑惑の追及や在外投票運動に携わった。帰国後は熱海市に住み、日大国際関係学部の特任教授を務めた。
 元修善寺町教育長の木内精吾(87歳、5・1)、元松崎町教育長の指出巌(78歳、9・7)、旧袋井市教育長の浅井通男(89歳、9・14)、元富士宮市教育長の大森衛(82歳、11・1)、元御前崎町教育長の小栗喜一(97歳、12・26)、元土肥小校長の松本覚(76歳、4・26)も逝った。

まちづくりなど


 浜松市中区の商店会「田町東部繁栄会」元会長の鈴木基生(70歳、7・25)、元富士市町内会連合会長の小出礼節(81歳、12・3)は地域活性化に尽くした。元県警刑事部長の市川功(84歳、11・16)はオウム真理教関連事件の捜査で陣頭指揮を執った。元静岡中央署長の奥田治郎(88歳、4・9)、元浜松中央署長の渡辺隆之(68歳、9・12)、元沼津署長の大村三仁(82歳、11・28)も鬼籍に入った。

スポーツ


 「平成の三四郎」と称された柔道家古賀稔彦(53歳、3・24)は左膝に重傷を負いながらも頂点に立ったバルセロナでの激闘が語り草。2017年に南伊豆町に移住し、柔道講習会などで地域住民との交流も重ねた。静岡新聞社の特別編集委員も務め、スポーツの価値を広く発信した。1952年の第24回選抜高校野球大会に静岡商高のエースとして出場し、史上3人目の全試合完封勝利で選抜初優勝に導いた元プロ野球国鉄投手の田所善治郎(86歳、1・6)、野球大会の開催や競技力向上に貢献した元県野球連盟理事長の宮本雄(97歳、2・10)、ブラジル出身のJ1清水元監督アントニーニョ(82歳、6・3)の訃報も届いた。
 

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