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カカオ産地に児童労働 チョコ会社、撤廃目指す 農業支援や環境改善も【スクランブル】

 チョコレートの原料カカオを生産する西アフリカでは、子どもが学校にも行かず収穫などの作業に従事させられる児童労働が横行している。日本国内のチョコレート菓子メーカーの間では、児童労働に頼らないで収穫されたカカオだけを使用し、さらには現地農家に農業支援などを実施して労働環境の改善を手助けする動きが加速している。

児童労働に従事させられカカオをなたで割る少年=2012年、ガーナ・アシャンティ州((C)ACE)
児童労働に従事させられカカオをなたで割る少年=2012年、ガーナ・アシャンティ州((C)ACE)
児童労働に従事させられ、カカオ豆の入った袋を運ぶ少年=2011年、ガーナ・アシャンティ州((C)ACE)
児童労働に従事させられ、カカオ豆の入った袋を運ぶ少年=2011年、ガーナ・アシャンティ州((C)ACE)
児童労働に従事させられカカオを運ぶ子ども=2009年、ガーナ・アシャンティ州((C)ACE)
児童労働に従事させられカカオを運ぶ子ども=2009年、ガーナ・アシャンティ州((C)ACE)
自社製品を手にする有楽製菓の河合辰信社長=8月、東京都小平市
自社製品を手にする有楽製菓の河合辰信社長=8月、東京都小平市
不二製油グループ本社の信達等執行役員油脂事業部門長=8月、大阪市
不二製油グループ本社の信達等執行役員油脂事業部門長=8月、大阪市
認定NPO法人ACEの白木朋子副代表((C)ACE)
認定NPO法人ACEの白木朋子副代表((C)ACE)
カカオ豆生産上位5カ国
カカオ豆生産上位5カ国
児童労働に従事させられカカオをなたで割る少年=2012年、ガーナ・アシャンティ州((C)ACE)
児童労働に従事させられ、カカオ豆の入った袋を運ぶ少年=2011年、ガーナ・アシャンティ州((C)ACE)
児童労働に従事させられカカオを運ぶ子ども=2009年、ガーナ・アシャンティ州((C)ACE)
自社製品を手にする有楽製菓の河合辰信社長=8月、東京都小平市
不二製油グループ本社の信達等執行役員油脂事業部門長=8月、大阪市
認定NPO法人ACEの白木朋子副代表((C)ACE)
カカオ豆生産上位5カ国

 チョコ菓子「ブラックサンダー」を主力商品とする有楽製菓(東京)は2020年、自社製品に使う全てのカカオ原料を25年までに児童労働に頼らないものにすると発表。ブラックサンダーは既に原料を全て切り替え、他の製品も含めた原料変更率は約96%に達する。
 「商品を通じてお客さんに笑顔を届けたいと思ってやってきたが、その過程で誰かの笑顔を搾取しているとしたら矛盾だと思った」。同社の河合辰信社長は、取り組みのきっかけが児童労働問題を専門とする認定NPO法人ACE(エース)を通じ、日本にとって最大のカカオ輸入相手国のガーナで学齢期の子どもが学校に行けずに労働を強いられている現状を聞いたことだったと振り返る。
 原料調達先の変更は簡単ではなかった。「既存の取引先からは急にそんな原料は用意できないと渋い反応をされたり、コストが上がりますよと言われたりした」(河合社長)。それでもただ1社、児童労働を排した原料を提供できると申し出た海外メーカーと新たに契約し、原料の一部を切り替えた。その後、切り替えられた国内メーカーも有楽製菓の本気度をくみ取り、児童労働に頼らない原料を供給するようになったという。
 今春、国際人権団体などが各国の大手チョコレート企業や商社の原料調達における人権・環境対応を評価した「世界チョコレート成績表」を発表。日本企業で首位となったのが油脂大手の不二製油グループ本社(大阪市)だ。同社は有楽製菓にも児童労働に頼らないカカオを供給している。
 不二製油はサステナブル(持続可能)な原料調達を目標に、サプライチェーン(供給網)上における児童労働を30年までに撤廃するとの目標を掲げる。信達等執行役員油脂事業部門長は「児童労働の根底にあるのは貧困。個々の農家の家計を豊かにする以外、児童労働撤廃は難しい」と話す。
 同社は西アフリカの農家を対象に気候変動に強いカカオ栽培を支援し、収量や所得の向上を後押しするなどのプログラムを実施。現地スタッフを通じた児童労働の監視活動にも力を入れる。
 エースの白木朋子副代表は「日本企業もやっとカカオ産業の児童労働対策に動き出したが、欧米では2000年ごろには既にこの問題に関心が持たれていた」と指摘。「個別の企業の取り組みには限界があるため連携が必要。関心を持つ消費者も増えているが、まだ多数には至っていない」と話している。

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