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ガーシー容疑者に逮捕状 海外滞在、見通せぬ逮捕

 警視庁は16日、前参院議員のガーシー(本名・東谷義和)容疑者(51)の逮捕状を取った。除名翌日の急展開に捜査関係者は「議員でなくなり動きやすくなった」と明かす。ただガーシー容疑者は海外滞在中で早期逮捕は見通せない。今回問題となったような「暴露系」と呼ばれる過激な動画配信はトラブルに発展しがちで、専門家は「表現の自由に配慮しつつも第三者機関によるチェックが必要」と訴える。

除名され取り外されるガーシー氏の氏名標=15日、参院本会議場
除名され取り外されるガーシー氏の氏名標=15日、参院本会議場
予想されるガーシー容疑者逮捕までの流れ
予想されるガーシー容疑者逮捕までの流れ
除名され取り外されるガーシー氏の氏名標=15日、参院本会議場
予想されるガーシー容疑者逮捕までの流れ

 帰国拒否
 「一生日本に帰らないかもしれない」。除名となった直後の15日夜、ガーシー容疑者はライブ配信した動画で身に迫る捜査に対する不安を吐露。逮捕状取得に関する報道が駆け巡った16日には「日本に帰らない。窮屈な世界に帰りたくない」と強調した。
 芸能人を中傷するような動画を投稿し注目を集めたガーシー容疑者は、海外に身を置きながら2022年7月に初当選した。しかしその後も度重なる「暴露」を続け、やり玉に挙げられた著名人らが被害届を提出。警視庁は23年1月、関係先の家宅捜索に踏み切った。
 それでも捜査は当初「逮捕ありき」ではなかった。警察庁幹部は「素直に聴取に応じて議員辞職していたら任意の捜査もあり得た」とし、度重なる出頭要請に応じなかったために逮捕状取得に至ったと説明する。
 逮捕まで数年も
 そもそも会期中の国会議員には不逮捕特権があり、現行犯以外で身柄を拘束するには国会での許諾請求を経る必要があった。これまでに延べ16人しかこの手続きを経て逮捕されておらず、警察当局にとっては課題の一つだった。しかし15日の除名で障壁がなくなり、事態が大きく動いた形だ。
 今後の展開としては、政府はガーシー容疑者にパスポート(旅券)の返納命令を出し、これに応じなかった場合は効力が失効する。失効すると不法滞在状態となるとみられ、国外退去処分となる可能性もある。警察庁幹部は「年単位かかるかもしれない」とみる。
 伴う責任
 ガーシー容疑者が世間に知られるきっかけとなったユーチューブは、再生回数などに応じ投稿者が収益を得る仕組み。15年ごろからユーザーが増え始めたといい、新型コロナウイルス禍で自宅時間が増えたことで、爆発的に広がった。
 ガーシー容疑者に代表される暴露系は、一般から提供された情報やゴシップを動画サイトで発信する。注目を集めることが収益につながるため、次第に内容が過激に。表現の自由との兼ね合いもあり、歯止めをかけられていないのが実情だ。
 樋口喜昭東海大特任教授(メディア史)は「テレビは長年試行錯誤を繰り返し、放送倫理・番組向上機構(BPO)をつくって自主規制をしている」と述べ、動画サイトにも同様の機関が必要と指摘。その上で「視聴する側も閲覧したり交流サイト(SNS)で拡散したりすることには責任が伴うことを意識しなければならない」と訴えた。

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