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ウクライナ侵攻と中国 「中立」演出し独自外交 米欧、兵器供与を懸念【大型サイド】

 中国がロシアのウクライナ侵攻を巡り「中立」を演出しながら独自外交を活発化させている。だが停戦仲裁にまで乗り出す動きは見えず、米欧の目には「誠実な仲介者」とは映らない。それどころか、バイデン米政権は中国がロシアに兵器供与を検討中と疑う。中国が「一線」を越えないよう、強くけん制している。

中国・北京の空港に到着したベラルーシのルカシェンコ大統領(右端)=2月28日(ベルタ通信提供・ロイター=共同)
中国・北京の空港に到着したベラルーシのルカシェンコ大統領(右端)=2月28日(ベルタ通信提供・ロイター=共同)
ベラルーシのルカシェンコ大統領の訪中に合わせ、北京の天安門前に掲げられたベラルーシ(左)と中国の国旗=1日(共同)
ベラルーシのルカシェンコ大統領の訪中に合わせ、北京の天安門前に掲げられたベラルーシ(左)と中国の国旗=1日(共同)
ウクライナ危機に関する中国の立場
ウクライナ危機に関する中国の立場
中国・北京の空港に到着したベラルーシのルカシェンコ大統領(右端)=2月28日(ベルタ通信提供・ロイター=共同)
ベラルーシのルカシェンコ大統領の訪中に合わせ、北京の天安門前に掲げられたベラルーシ(左)と中国の国旗=1日(共同)
ウクライナ危機に関する中国の立場

 新味なし
 「侵略者に言及してない。奇妙だ」。中国がウクライナ情勢に関する立場を文書で表明した2月24日。在中国欧州連合(EU)代表部のトレド大使は北京で開いた記者会見で眉をひそめた。
 中国は文書で、停戦と和平対話を呼びかけた。各国の主権尊重も訴えたが、ロシアの侵略行為への言及はなかった。中国はロシア産原油の輸入を続けるなど経済面でロシアを支えており、米欧からは「誠実な仲介者ではない」(米国務省報道官)、「中国は信用されていない」(北大西洋条約機構事務総長)と冷淡な声が支配的だ。
 文書は、停戦に向けた具体的行動にも触れず、新味はない。それでも公表したのは、完全にロシア寄りと見られて国際社会で孤立するのを避けるためだ。国連総会が23日にロシア軍の即時撤退を求める決議を採択した際も中国は棄権。反対はせず、ロシアと同列ではないと示した。
 習近平国家主席は自ら外交も活発化させる。3月1日には北京で、ロシアの同盟国ベラルーシのルカシェンコ大統領と会談。ルカシェンコ政権は米欧の制裁下にあり、同氏は中国国営テレビに対して「誰が敵で誰が友かはっきり分かった」と述べ、中国と連携するとアピールした。
 警告
 今春には習氏が訪ロする可能性もある。だがバイデン米政権は2月中旬、中国が兵器提供を検討しているとの情報があると公表。中ロが緊密さを誇示すれば、米欧の疑念は一層深まりそうだ。
 「一線を越えた者たちには厳しい制裁を科してきた」。バイデン米大統領は2月24日の米テレビのインタビューで、中国がロシアに兵器を提供すれば制裁発動も辞さない構えを示唆した。
 「ロシアからは企業600社が撤退した。あなたは、中国の未来は欧米による投資に懸かっていると言っていた。よく注意してほしい」。バイデン氏は習氏と昨年夏に話した際に「警告ではない」と断った上で伝えた言葉を明かした。
 「中国もこんな状況には巻き込まれたくないはずだ」(米高官)。だが中国は「中ロ関係を米国があれこれ言う権利はない」と繰り返し反発。日本や同盟国と連携し、制裁もちらつかせて中国に圧力をかける―。米側の戦略が功を奏するかどうかは見通せない。(北京、ワシントン共同=鮎川佳苗、田中光也、河内俊英)

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