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テーマ : 国際

魯迅ゆかりの書店復活、天津 日中文化交流の場

 20世紀初頭の上海で日本人が経営し文豪魯迅も通った「内山書店」が、2021年に天津で約76年ぶりに中国での復活を実現し、若者や家族連れを引き付け続けている。経営するのは中国人。日中の文化交流サロンとして、新型コロナウイルス禍に負けず店舗も増やしている。

来店した人でにぎわう中国天津市の内山書店=1月(共同)
来店した人でにぎわう中国天津市の内山書店=1月(共同)

 内山書店は終戦で閉鎖され、いまは東京・神保町で中国書籍を主に扱う。中国での再興に奔走したのは天津のテレビ局ディレクターだった趙奇さん(40)。取材で内山深社長(50)と知り合い、中国での営業再開という内山さんの悲願に「心を動かされ」一肌脱いだ。
 東京の内山書店からのれん分けする形で天津中心部に開業。昨夏には2店目もオープンした。上海も含め、さらなる店舗展開も視野に入れる。
 店内では岡山県出身の創業者内山完造や魯迅、郭沫若ら常連だった文化人をパネルで紹介。2店舗で計約2万5千冊の本や雑誌、文具を販売し、4分の1は日本関連だ。日本語が堪能な店員も常駐。売れ筋は漫画や美術書、東野圭吾さんなどのミステリー小説だ。
 両店舗にはカフェがあり、午後10時まで営業。日本酒を提供し和菓子講座などのイベントも開いた。店で演奏もする打楽器奏者の男性(27)は「静かな他の書店と違い、にぎやかで新鮮」と語る。
 内山さんは「多くの人に受け入れられ大変うれしい。内山書店のブランド力を維持しつつ、両国の人たちから喜ばれるような本屋を続けてもらいたい」と話す。同書店を「日中友好と平和の橋」と呼ぶ趙さんは「歴史を継承するのが目標」と意気込んでいる。(天津共同)

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