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バイデン米大統領がウクライナ電撃訪問 連帯アピール絶好機狙う 戦時中、極秘裏に計画

 バイデン米大統領が20日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を電撃訪問し、ゼレンスキー政権を全面的に支援する姿勢を確認した。戦時下の訪問は安全面を考慮して極秘裏に進められ、報道陣のたび重なる質問も否定されていた。訪問を侵攻開始から1年の節目に合わせることで、米国の連帯を最も効果的にアピールする絶好機と捉えたとみられる。

20日、ウクライナの首都キーウで、抱き合うゼレンスキー大統領とバイデン米大統領(ロイター=共同)
20日、ウクライナの首都キーウで、抱き合うゼレンスキー大統領とバイデン米大統領(ロイター=共同)
20日、ウクライナの首都キーウで、ゼレンスキー大統領(中央)と並んで歩くバイデン米大統領(手前左)(AP=共同)
20日、ウクライナの首都キーウで、ゼレンスキー大統領(中央)と並んで歩くバイデン米大統領(手前左)(AP=共同)
バイデン米大統領の移動経路
バイデン米大統領の移動経路
20日、ウクライナの首都キーウで、抱き合うゼレンスキー大統領とバイデン米大統領(ロイター=共同)
20日、ウクライナの首都キーウで、ゼレンスキー大統領(中央)と並んで歩くバイデン米大統領(手前左)(AP=共同)
バイデン米大統領の移動経路

 「共にある」
 「あれから1年が経過した。ウクライナは健在で民主主義も健在。米国はあなたたちと共にある」。ウクライナ国旗の青と黄をあしらったストライプのネクタイをしたバイデン氏は、キーウで隣に立つゼレンスキー大統領に呼びかけ、米国の対ウクライナ支援は揺るがないと訴えた。
 バイデン氏は今月の一般教書演説でウクライナ危機は「われわれの時代にとって、米国にとって、世界にとっての試練」と位置付けた。民主主義の価値が試されていると指摘していた。
 ロシアによる侵攻後、米国の同盟国首脳は相次いでキーウに入った。スペイン、デンマーク、カナダの首脳らは侵攻の早い段階で訪れていた。中でも英国の首相は突出。ジョンソン元首相は昨年9月に退任するまで3回にわたりキーウを訪れ、スナク首相も11月に訪問していた。
 ロシアがウクライナ東部で攻勢に出る中、バイデン氏は民主主義陣営のリーダーとして、ウクライナ国民やゼレンスキー政権を支え続ける決意を示す必要に迫られていた。さらに侵攻長期化により国内外で「ウクライナ支援疲れ」が広がる。思い切った行動で求心力を高め、結束を促す狙いもあったとみられる。
 極めて異例
 米大統領の外遊は通常、専用車からヘリコプターまで全て空輸して徹底した安全対策が取られる。米当局によると、今回は医療チームや警備担当ら少人数が同行。不測の事態を避けるためロシアに直前に通知した。
 極めて異例の訪問は極秘で進められた。米紙によると、米政府当局者は、バイデン氏が予定していた21~22日のポーランド滞在中にウクライナ訪問計画があるかどうかについて繰り返し否定していた。ホワイトハウスは19日夜、20日の大統領日程として夕方にワシントンからポーランドに向かうと公表していた。
 しかし実際は19日未明にワシントンを出発、ポーランド国境から列車で20日にキーウ入りした。バイデン氏は米国がウクライナ支援に関与し続けることを同盟国に示す機会として、侵攻1年に合わせ訪問したいとの意向を側近らに伝えていた。
 待ちわび
 ゼレンスキー氏はバイデン氏の訪問を待ちわびていた。20日の会談では「ウクライナ人にとって重要な瞬間」「すべきことは、ウクライナをより強くし、今年勝つことだ」と強調した。
 イエルマーク大統領府長官も「(訪問で)多くの問題が解決される」と述べ、兵器供与が加速して戦況は好転するとの楽観論を示した。だが、米国はウクライナの早期勝利は極めて難しいと分析。米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は今月、英紙にこう答えた。「ウクライナの今年中の全領土奪還は非常に困難だ」。バイデン氏の訪問が戦争の局面転換につながるとの見方はほぼない。(キーウ、ワシントン共同)

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