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ミュンヘン安全保障会議 欧米、武器迅速供与へ連帯 戦闘機配備、困難さ露呈【大型サイド】

 19日閉幕のドイツ・ミュンヘン安全保障会議は、ロシアのウクライナ侵攻1年を目前に欧米の首脳らが一堂に会し、ウクライナ支援強化を表明する象徴的な場となった。ロシアの大規模攻撃に備えて迅速な武器支援で連帯したが、米国とドイツが決めた主力戦車の引き渡しの遅れが懸念され、戦闘機供与の議論も停滞。強力な兵器の供与には依然、困難が伴う現実が浮き彫りになった。

ドイツ製主力戦車レオパルト2=2011年9月、ドイツ・ミュンスター(AP=共同)
ドイツ製主力戦車レオパルト2=2011年9月、ドイツ・ミュンスター(AP=共同)
NATOの演習に参加したポーランド空軍のF16戦闘機=2022年10月(ゲッティ=共同)
NATOの演習に参加したポーランド空軍のF16戦闘機=2022年10月(ゲッティ=共同)
首脳らの会議での主な発言(写真はロイター、ゲッティ)
首脳らの会議での主な発言(写真はロイター、ゲッティ)
ドイツ製主力戦車レオパルト2=2011年9月、ドイツ・ミュンスター(AP=共同)
NATOの演習に参加したポーランド空軍のF16戦闘機=2022年10月(ゲッティ=共同)
首脳らの会議での主な発言(写真はロイター、ゲッティ)

 「スピードに代わるものはない。人命が懸かっている」。ウクライナのゼレンスキー大統領は17日のオンライン演説で、迅速な武器供与を迫った。
 ウクライナとロシアを少年ダビデが巨人ゴリアテを倒す旧約聖書の物語にたとえ「ウクライナにはダビデの勇気があるが、ゴリアテ(ロシア)を倒すには武器が必要だ」と訴えると、会場から大きな拍手が上がった。
 呼応するように「戦車を供与できる国は今すぐ送るべきだ」と旗を振ったのはドイツのショルツ首相だった。近隣国からは戦車を供与すれば、自国の防衛に影響が出るとの声も上がる。ショルツ氏は1月、主力戦車レオパルト2の供与をちゅうちょして各国から非難を浴びた当人だが、戦車の引き渡しが遅れてはならないと号令役に回った。
 「絶対に支援を強化しなければならない」(フランスのマクロン大統領)「弾薬を送るのに何カ月も待つわけにはいかない」(欧州連合=EU=のフォンデアライエン欧州委員長)―。出席した指導者からはさらなる連帯の声が相次いだ。
 ウクライナが懸念する大規模攻撃が実際にあるのかどうかや、どの程度の規模なのかは現段階で不明だ。
 英フィナンシャル・タイムズ紙は今月14日、情報筋の話として、ロシア軍がウクライナとの国境近くに航空機を集結させていると報道。陸上戦から空戦に移行する可能性があり、迅速に弾薬などを供与することが必要との見方を伝えている。
 ウクライナは当初、戦闘機の供与を強く求めていたが、欧米側の議論は今回も進まなかった。侵攻後に保有していた戦闘機の多くを失った上、ロシアの航空戦力が何倍も上回る現状がウクライナ側の訴えの背景にあるが、操縦士の訓練には年単位の時間が必要と言われ、整備や補給態勢の構築も欠かせない。戦闘がさらに泥沼化に陥るとの懸念も根強い。
 これまで前向きな姿勢を示していたスナク英首相も会議では「今こそウクライナへの支援を倍増させるべき時だ」と述べるにとどまり、早期の戦闘機供与に関する具体的な発言を避けた。(ミュンヘン共同=田中寛)

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