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上場企業決算 サービス回復、業績けん引 製造業は下方修正相次ぐ【大型サイド】

 上場企業の2022年4~12月期決算発表がヤマ場を迎えている。サービス業などの非製造業で新型コロナウイルス禍からの回復が進んだ一方、製造業は通期見通しの下方修正が相次ぎ、企業業績をけん引する主役の交代を印象づけた。

2022年12月、帰省ラッシュで混雑する羽田空港の出発ロビー
2022年12月、帰省ラッシュで混雑する羽田空港の出発ロビー
企業幹部の主な発言
企業幹部の主な発言
2022年12月、帰省ラッシュで混雑する羽田空港の出発ロビー
企業幹部の主な発言

 「国際線の旅客数は前年の5倍になった」(ANAホールディングスの中堀公博上席執行役員)。同社は水際対策緩和や全国旅行支援の追い風を受け、4~12月期の純損益は黒字転換した。東京ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドや三越伊勢丹ホールディングスも黒字転換や大幅増益になり、サービス業は客足の回復が顕著だ。
 一方で、世界景気の影響を受けやすい製造業は先行きへの慎重姿勢を強めている。住友化学は23年3月期の純利益予想を従来の1050億円からゼロに引き下げた。ウクライナ危機や中国経済の停滞で化学製品の市況が低迷し「本格的な回復は24年になる」(岩田圭一社長)と厳しい見方だ。急激な円安から円高への揺り戻しも、輸出企業にはマイナスとなる。
 製造業では22年9月中間決算の発表段階で、通期の純利益予想を上方修正した社数が引き下げ数を上回っていた。しかし今回は7日時点で上方修正41社に対し、引き下げは97社と逆転している。
 物価高を受け、今春闘での賃上げを巡る各社の発言にも注目が集まる。パナソニックホールディングスの梅田博和最高財務責任者(CFO)は「物価上昇を上回る賃上げは会社が考えること」と前向きだ。
 賃上げを判断する上では、高騰する原材料コストをスムーズに価格転嫁できたかどうかも、重要な要素となる。建機などの値上げが業績に寄与したコマツは「第3四半期は、販売価格の上昇分が原価のコスト増加分を上回った」(堀越健CFO)。一方、日本ハムは値上げ商品の販売回復の遅れなどが響き、22年4~12月期が減益だった。客離れのリスクもにらみつつ、価格転嫁を巡り各社の難しいかじ取りが続いている。

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