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トルコ大地震 内戦下シリア、支援難航 被災者「生き残れない」【大型サイド】

 トルコとシリアの国境地帯を直撃した6日の大地震では、70カ国がトルコに支援を申し出る一方、欧米の制裁を科され、内戦で国土が分裂状態にあるシリアへの支援は難航している。「このままでは生き残れない」。被災地からは悲痛な叫びが上がる。困窮者に必要な援助を満遍なく届ける仕組みを作れるのか。人命救助の目安となる発生後72時間が迫るが、各国の足並みは乱れる。

8日、シリア北部アレッポの路上で火をたいて温まる避難者の男性(ロイター=共同)
8日、シリア北部アレッポの路上で火をたいて温まる避難者の男性(ロイター=共同)
シリア北部アレッポ県で、地震で倒壊した建物から家具を移動させる人たち=7日(AP=共同)
シリア北部アレッポ県で、地震で倒壊した建物から家具を移動させる人たち=7日(AP=共同)
シリア西部で活動するロシアの救助隊=7日(タス=共同)
シリア西部で活動するロシアの救助隊=7日(タス=共同)
大地震で建物が崩壊したシリア北西部イドリブ県=7日(地元住民提供・共同)
大地震で建物が崩壊したシリア北西部イドリブ県=7日(地元住民提供・共同)
大地震で建物が崩れ落ちたシリア北西部イドリブ県=7日(地元住民提供・共同)
大地震で建物が崩れ落ちたシリア北西部イドリブ県=7日(地元住民提供・共同)
大地震で建物が崩壊したシリア北西部イドリブ県=7日(地元住民提供・共同)
大地震で建物が崩壊したシリア北西部イドリブ県=7日(地元住民提供・共同)
各国のシリア支援を巡る動き
各国のシリア支援を巡る動き
8日、シリア北部アレッポの路上で火をたいて温まる避難者の男性(ロイター=共同)
シリア北部アレッポ県で、地震で倒壊した建物から家具を移動させる人たち=7日(AP=共同)
シリア西部で活動するロシアの救助隊=7日(タス=共同)
大地震で建物が崩壊したシリア北西部イドリブ県=7日(地元住民提供・共同)
大地震で建物が崩れ落ちたシリア北西部イドリブ県=7日(地元住民提供・共同)
大地震で建物が崩壊したシリア北西部イドリブ県=7日(地元住民提供・共同)
各国のシリア支援を巡る動き

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 「地震は全てを壊した。子どもが3人いるが、毛布も食料もない」。アサド政権が統治する北西部ラタキアの公共施設職員サイード・ハスウムさん(37)は電話取材につらそうに語った。「支援物資が運ばれるよう制裁をすぐにでも解除してほしい。制裁はシリア政府でなく、貧しい人々を苦しめている」と訴える。
 タクシー運転手サミ・ヤフールさん(55)は自宅が壊れた。「家を失って冬の寒さの中、外で夜を過ごした人も多い」と話す。「近所で子どもも亡くなった。食べ物も足りない」という。
 反体制派が抵抗の拠点としている北西部イドリブ県でも「多数の建物が崩壊した。言葉にできないほど状況はひどい」(35歳の教師アフメド・ハミディさん)。ハミディさんも自宅が損壊して郊外に逃れたが、身を寄せられる建物はなく、屋外で過ごす。「何でもいいから支援が必要。どの国でもいいから今すぐ助けて」と望む。
「対立棚上げを」
 アサド政権は、欧米の制裁が人道支援を阻んでいるとの主張を強めている。サバーグ国連大使は7日の記者会見で「制裁でシリアの空港に多くの貨物機が着陸できずにいる」と気色ばみ、「どの国から何を受け取ろうが、必要とする全てのシリア人に分け与える」とアピールした。
 しかし、額面通りには受け止められない。アサド政権に支援物資を送っても、アサド政権軍や後ろ盾のロシア軍が激しく攻撃してきた反体制派地域に公平に分配される見通しはないからだ。
 米国はアサド政権を通さず、民間団体などを支援する方向で調整する。欧米はアサド政権が内戦中に化学兵器を使用したとして責任の追及を続けており、不信感は根強い。アサド政権と友好関係を保つロシアや中国などは、政権を窓口にして支援に乗り出す方針だ。
 反体制派地域には今回の地震が起きる前、トルコ側から食料や医療品が運び込まれていた。地震によって国境に通じる道路やトルコ側の空港が損傷しており、輸送に支障が出ている。
 国連のドゥジャリク事務総長報道官は7日、大地震による「緊急事態」だとして、アサド政権の支配地域から援助活動を行う可能性を示し「政治的対立を棚上げして助けを必要としている人々や子どもに集中する機会となる」と各当事者に理解を求めた。(カイロ、ニューヨーク共同=吉田昌樹、稲葉俊之)

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