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児童手当拡充議論スタート 制限撤廃、与野党前のめり 多子加算への踏み込み焦点【大型サイド】

 岸田政権が少子化対策の柱とする児童手当の拡充を巡り、関係府省会議で7日、具体策の議論が始まった。統一地方選を控えた与野党が成果をアピールしようと前のめりになり、一斉に所得制限の撤廃を主張。政府もその方向で調整している。ただ対象は一部の高所得世帯に限られるため、莫大な財源を要する多子世帯への加算などにまで踏み込めるかが焦点だ。

児童手当拡充の検討項目と必要な財源(試算)
児童手当拡充の検討項目と必要な財源(試算)

 児童手当の所得制限は1972年の制度開始当初から設けられていた。一定の所得がある場合は支給対象外となり、82年には財政再建のため、高所得世帯への支給額を減額する「特例給付」も導入された。
 転機は民主党政権時の2010年。「子ども手当」を創設し、中学生以下の全ての子どもに一律月額1万3千円を支給した。だが10年の参院選大敗によって衆参両院の多数が異なる「ねじれ国会」に陥り、当時野党だった自民が「ばらまき政策」と追及。公明も含めた3党協議の結果、12年4月から児童手当に名称が戻り、高所得者は月額5千円に減額する特例給付が復活した。昨年10月からは夫婦どちらかが年収1200万円以上の場合に不支給となった。
 今国会では自民の茂木敏充幹事長が「全ての子どもの育ちを支えるという観点から(所得制限を)撤廃すべきだ」と口火を切り、公明も同調。野党は自民の“変節”を激しく非難したものの、撤廃の姿勢では一致する。
 児童手当は現在、中学卒業までの子どもを対象に、年齢や人数に応じて1人当たり月額1万~1万5千円が支給されている。拡充に向けた議論で俎上に載っているのは(1)所得制限の撤廃(2)支給対象年齢を18歳までに引き上げ(3)多子世帯について第2子以降の増額―だ。
 必要な財源は(1)が約1500億円、(2)が約4千億円との試算がある。(3)は自民党内に第2子を3万円、第3子を6万円とする案などがあり、2兆~3兆円と目される。所得制限の撤廃は対象が全体の1割にとどまり、インパクトには欠けるが「一番実現しやすい」(政府関係者)。
 一方、手当拡充ばかりが注目されることに、政権内では警戒感も広がる。加藤勝信厚生労働相は「所得制限を撤廃しろという話が議論の中心になり過ぎている」とし、都市部以外の高所得者が少ない地域ではメリットを感じられないと強調。保育の質向上や仕事と子育ての両立など施策全体に目を向けるよう訴えた。

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