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内閣支持率低迷 目玉政策、負担増で相殺 政権浮揚の妙手見えず

 共同通信社の世論調査で、内閣支持率の低迷から抜け出せない現状が鮮明になった。岸田文雄首相は子ども・子育てを目玉政策として予算倍増を打ち出したが、負担増への懸念が評価を相殺した格好だ。賃上げへの期待も乏しく、政権浮揚の妙手は見えない。防衛費増額に伴う増税前に衆院解散が必要だとの回答が多数に上り、首相への圧力は増している。

増税前の衆院選実施について
増税前の衆院選実施について


総論賛成
 「国民は政権の姿勢を様子見だろう。点数を上げるのは簡単でない」
 自民党の閣僚経験者は29日、政権が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題や相次いだ閣僚更迭など昨年からの「負の流れ」を断ち切れない現状を嘆いた。
 首相は年明けの1月4日の年頭記者会見や23日の施政方針演説で「異次元の少子化対策」や「物価上昇を超える賃上げ」を提唱し、反転攻勢を図った。
 だが世論調査では、予算を倍増させるとの少子化対策は評価されたが、消費税増税などの負担増には反対が多数。公明党の山口那津男代表は「総論は賛成だが、負担を安易に税に求めず、財源を見つける努力をしてほしいとの意思の表れだろう」と指摘した。

解散圧力
 首相が旗を振っている賃上げを巡っても、「実現しないと思う」との回答は80・7%。野党支持層のみならず、自民党支持層でも72・2%、公明党支持層で79・2%と冷めた見方が目立った。
 一方、首相が国会論戦を通じて国民への説明を徹底すると言明した、防衛増税に関しては一定程度、支持は増えた。特に自民支持層では昨年12月の前回調査で「支持する」が41・6%だったが今回は56・9%に上昇。「支持しない」の40・1%を上回った。
 ただ、増税前に衆院解散で国民に是非を問う必要があるとの回答が、野党支持層だけでなく、自民支持層で68・8%、公明支持層で63・4%に上った。政府関係者は「増税前の解散圧力が強まりつつあるのではないか」との見方を示した。

読み違え
 野党は、30日からの衆院予算委員会での国会論戦に向け攻勢を強める構えだ。立憲民主党の泉健太代表は取材に「勝手に防衛費を増やし、防衛増税を決めた政権への批判は強い。増税を強行するなら衆院解散を求めていく」と強調。日本維新の会の馬場伸幸代表は「各地を回っていても増税していいとの声は皆無だ。首相は世論を読み違えている」と指摘する。
 首相は施政方針演説で「先送りできない課題に、正面から愚直に向き合い、一つ一つ答えを出していく」と政策実現に打ち込む姿勢を強調したが、政権運営の難局は続いている。
 自民ベテランは「増税を掲げたら負ける。増税を問う選挙なんてあり得ない」とこぼした。

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