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新名神立ち往生 通行止めも、混乱防げず 最強寒波、大動脈直撃【表層深層】

 最強寒波に見舞われ、新名神高速道路では積雪の影響で1日以上の大規模な立ち往生が発生した。通行止めに踏み切った後も、区間内に残った車が動けなくなったことが原因とみられる。同様の事例は各地で頻発しており、規制の判断やタイミング、周知方法に問題がなかったかどうかが問われそうだ。危機管理の専門家は「早めの通行止めが結果的に空振りになっても構わないという、世間の合意形成が求められる」と指摘する。

大雪の影響で大規模な立ち往生が発生した新名神高速道路=25日、滋賀県甲賀市(共同通信社ヘリから)
大雪の影響で大規模な立ち往生が発生した新名神高速道路=25日、滋賀県甲賀市(共同通信社ヘリから)
大雪の影響で通行止めとなった新名神高速道路を走る除雪車=25日、滋賀県甲賀市(共同通信社ヘリから)
大雪の影響で通行止めとなった新名神高速道路を走る除雪車=25日、滋賀県甲賀市(共同通信社ヘリから)
大雪の影響で大規模な立ち往生が発生した新名神高速道路=25日、滋賀県甲賀市(共同通信社ヘリから)
大雪の影響で大規模な立ち往生が発生した新名神高速道路=25日、滋賀県甲賀市(共同通信社ヘリから)
新名神高速と並行する道路
新名神高速と並行する道路
立ち往生発生の要因
立ち往生発生の要因
大雪の影響で大規模な立ち往生が発生した新名神高速道路=25日、滋賀県甲賀市(共同通信社ヘリから)
大雪の影響で通行止めとなった新名神高速道路を走る除雪車=25日、滋賀県甲賀市(共同通信社ヘリから)
大雪の影響で大規模な立ち往生が発生した新名神高速道路=25日、滋賀県甲賀市(共同通信社ヘリから)
新名神高速と並行する道路
立ち往生発生の要因


代替ルート
 新名神高速は、北側を走る名神高速道路と共に、東西を結ぶ大動脈だ。名神高速の関ケ原(岐阜)―彦根(滋賀)間は冬の降雪でたびたび通行止めが起きていたことから代替ルートとして整備され、亀山ジャンクション(三重)―草津田上(滋賀)間が2008年2月に開通した。
 ただ今回の寒波は、その両方に大きな影響を及ぼした。津地方気象台によると、新名神高速の通行止め区間に近い三重県菰野町の積雪は25日午前5時に12センチ、同11時に28センチ、午後4時に39センチに達し、その後も26日未明まで断続的に降った。
 路面凍結の恐れが高まった名神高速は、一歩早く24日午後9時に一宮(愛知)―岐阜羽島(岐阜)間の下り線が通行止めになっていた。

同時閉鎖
 国土交通省は、これまでの大規模な立ち往生を教訓に、大雪が見込まれる場合の早期の通行止めや、高速道路と並行する国道の同時閉鎖など対策を強化してきた。昨年12月にも新潟県長岡市などの国道で立ち往生が発生。初動対応が遅れたとの指摘もあった。
 今回は、新名神高速と並行する名阪国道を24日、予防的に通行止めとした。だが、その時点では急速な降雪は予測されておらず、迂回路を確保する必要もあったため、中日本高速道路とも調整して新名神高速の同時通行止めは見送っていた。
 こうしたことから、新名神高速には規制を受けた周辺道路から車が流れ込み、交通量が増加。京都方面から徐々に渋滞が発生し、最後尾が滋賀県東部に迫っていた。
 「新名神を止めると東西の交通確保ができなくなる」。積雪の懸念が強まる中、難しい判断を迫られた中日本高速は、渋滞がさらに延びないよう、25日午前3時50分に四日市ジャンクション(三重)―甲賀土山(滋賀)間の下り線などを通行止めにした。

協力要請
 しかし通行止めで新たな車の流入を止めた後も、区間内に残った車が積雪で進めなくなり、最終的に大規模な立ち往生に。中日本高速の担当者は「現時点で規制のタイミングは適切だったと考えるが、今後検証して対策につなげる」と話す。
 国交省の担当者も「新名神通行止めのタイミングを含めて対応を振り返り、反省すべきところは反省しなければいけない」と振り返る。
 1月23日には「緊急発表」を出し、不要不急の外出を控えるよう呼びかけていた。国交省の担当者は「国民の協力も不可欠だ」とため息をつく。
 日本大危機管理学部の福田充教授は、学校や企業が休みを決めるなど、鉄道の計画運休は社会に受容されているとした上で「最悪の事態を避けるためには、相当早く通行止めになることがある、という文化を社会に定着させる必要がある」と指摘している。

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