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広域強盗 「急ごしらえ」の強盗団 闇バイト、ネットで求人か

 関東で強盗や窃盗を繰り返したとみられるグループが、遠く離れた広島、山口両県の事件にも関与していた疑いが浮上した。山口の事件では昨年11月に5人が起訴されたが、事件はその後も相次いで発生。これまでの捜査からは、犯罪への関与をインターネット上で募る「闇バイト」に応募した面識のない者たちが、「急ごしらえ」の強盗団を結成し実行に移していた実態が見え始めている。凶行を止めるには指示系統の解明が急務だ。

東京都中野区で起きた強盗事件の現場付近=2022年12月5日(近隣住民提供)
東京都中野区で起きた強盗事件の現場付近=2022年12月5日(近隣住民提供)


バラバラ
 昨年11月、山口県岩国市の住宅で起きた強盗未遂事件。起訴された5人の住所は東京が2人で、残りは北海道、栃木、愛知とバラバラだ。起訴状などによると、1人は交流サイト(SNS)上で「日当100万円」の求人に応募。募集側から「タタキ(強盗の隠語)の仕事」と説明され加わっていた。現場近くで他のメンバーと合流した後「金庫が二つあり、合計で1億円ある」などと具体的な指示があったとされ、被害者宅の内情を事前に調査するメンバーの存在も垣間見える。
 事件当日は住人が日本刀を持ち出し抵抗したため、金品を奪えずに終わった。捜査関係者は「大きな組織の手足のようで手口も不慣れ。急ごしらえしたチームのようだ」と印象を明かす。
 昨年12月の東京都渋谷区の窃盗事件で逮捕された男は、闇バイトに応募し「(指示役に言われて)実行した」と供述。7人が関与したとみられる中野区の強盗傷害事件で起訴された男は「強盗をするために集まった。面識はなかった」と話している。他にも複数の事件で実行役が携帯電話で外部とやりとりしており、指示役がいたことは間違いない。

資産家名簿
 実行役を闇バイトで募る手口は、特殊詐欺グループが「受け子」や「かけ子」を集める方法とも共通している。2019~20年には資産状況を尋ねる電話をした後に強盗に入る「アポ電強盗」が関東で多発。その際にもSNSが実行役の勧誘に使われた。
 19年2月には、東京都江東区のマンションで無職女性=当時(80)=がアポ電を受けた後に手足を縛られ死亡する事件が発生。逮捕された3人のうち1人はSNSで「金の良い仕事がある。誰か興味ない?」と仲間を募る投稿をしていた。
 今回のグループも何らかの方法で入手した資産家の名簿などから襲撃先を決めていた可能性がある。中野区の事件で逮捕された男のスマートフォンには「狛江」という地名や時間が記されていたほか、東京都足立区の住所も残されていた。足立区については、これをもとに警視庁が襲撃の恐れがあるとして住人を避難させた。

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