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憲法審査会 任期延長、5党派前のめり 立民、意見集約に身構え

 10日閉幕する今国会は、憲法審査会の実質討議を衆参計7回開催した。衆院は自民党など5党派が、緊急事態が発生した際の国会議員任期延長を中心に討議を展開し、論点の絞り込みを進めた。立憲民主党は意見集約に身構え、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題などを提起。ただ議論を深めるには至らず、流れを変えられなかった。

今国会の衆参憲法審で挙がった主な論点
今国会の衆参憲法審で挙がった主な論点

 ▽ハイペース
 「論点を整理し、集中的に討議するサイクルができてきた。憲法改正議論が深まり、非常に充実していた」。8日の衆院憲法審後、与党筆頭幹事の新藤義孝氏(自民)は高揚感を抑えながら今国会を振り返り、来年への期待を記者団に語った。
 自民、日本維新の会、公明党、国民民主党、衆院会派「有志の会」の5党派は緊急事態対応を喫緊の課題と位置付け、このうち議員任期延長に議論を集中させた。「改憲が必要」との認識を共有。任期延長の上限を「1年」や「半年」とする案、緊急時の衆院解散禁止案など具体的な論点にまで踏み込んだ。
 1日には各党派の見解の論点整理を衆院法制局から聴取した。国民民主からは改憲条文案の作成を求める声も上がった。
 今年前半の通常国会も衆院15回、参院6回と実質討議を重ねており、今国会もハイペースを維持した形。だが憲法審関係者は「意見集約に入ろうとすれば、各党の主張の違いは簡単に埋められないだろう」と予想する。
 ▽やり過ぎ
 立民は10月、今国会の初回討議で「政治と宗教」を取り上げるよう訴えた。旧統一教会問題の被害者救済、教団側と自民議員との接点が社会的にも関心を持たれており、憲法審を主導する自民に揺さぶりをかけたわけだ。しかし5党派は取り合わず、不発に終わった。
 緊急事態の議員任期延長に関しては、国会法改正と参院の緊急集会規定の活用で対応できるので改憲は不要だと主張した。憲法本体よりも前に、改憲手続きを定めた国民投票法にテレビ、インターネットCM規制を盛り込む議論を優先させるよう重ねて求めた。
 野党筆頭幹事の中川正春氏(立民)は8日、記者団に「任期延長だけでやり過ぎた感じだ。改正ありきの議論は成り立たない」と自民などの議論の進め方に不満を示した。共産党は改憲に反対し続けた。
 ▽党利党略
 参院憲法審では、7月の参院選「1票の格差」を巡る司法判断を契機に、隣接県を一つの選挙区にする「合区」の解消が主要テーマとなった。
 自民は改憲による合区解消を唱え、立民は法改正で対応すべきだとした。公明や維新、共産はブロック選挙制度を挙げた。党利党略が改めて浮き彫りになったが、議論は進展しそうにない。
 参院は非常時対応のため緊急集会が憲法54条に規定されており、衆院が任期延長案を議論するのはおかしいとの批判も上がった。

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