あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 読み応えあり

関心高まる「父子帰省」 旅費減り妻も休める 実家側も気を使わず

 「気を使う」「手伝いをしないといけないため、ゆっくり休めない」―。連休が近づくと、夫の実家への帰省は気が重いと感じる妻もいる。そこで少しずつ関心が高まっているのが、妻は同行せず、夫と子だけで夫の実家に帰省する「父子帰省」だ。専門家は「妻が休む時間も取れ、帰省にかかる費用も浮いて良いことが多い」と指摘する。

お盆休みの帰省や旅行で混雑したJR東京駅で、新幹線に乗り込む人たち=8月
お盆休みの帰省や旅行で混雑したJR東京駅で、新幹線に乗り込む人たち=8月
父子帰省をしてみた感想
父子帰省をしてみた感想
お盆休みの帰省や旅行で混雑したJR東京駅で、新幹線に乗り込む人たち=8月
父子帰省をしてみた感想

 東京都杉並区で4歳と0歳の子どもを育てる30代女性の夫は、年に数回、4歳の子と2人きりで千葉県の実家に帰省している。女性は「夫の実家に行くと何かと気を使う。義父らも私がいない方が気兼ねなく過ごせるだろう」と話す。
 夫と子どもは義父らと出かけて楽しく過ごして帰ってくるといい、女性は「夫の実家の掃除が行き届いていないのではないか…と心配することもあるが、特に問題なく過ごして帰ってくる。家族2人がいない間に少しゆっくりできた。父子帰省はいいものだと感じている」とお勧めしている。
 新型コロナウイルス禍前の2019年12月、婚活支援サービスの「パートナーエージェント」が30~49歳の既婚で子どものいる男女2380人を対象に実施した調査(複数回答)によると、26・5%が父子帰省をしたことがあると回答した。父子帰省をどう思うかは、男性の47・3%が「父と子の思い出づくりになる」、女性の46・6%が「夫と子が不在の間に妻が休むことができる」と肯定的だった。
 実際に父子帰省をした男性300人に感想を尋ねると、「子どもと過ごす時間を満喫できた」(68・0%)、「親が喜んでくれた」(41・3%)などと回答があった。一方、「子どもの世話が大変だった」(12・0%)、「親に迷惑をかけてしまった」(5・0%)といった声も。慣れない世話に夫や親が困ることもあるようだ。
 家族社会学を研究している立命館大の筒井淳也教授は、帰省を取り巻く状況を「平均余命が長くなるにつれ、帰省する期間も延びた。きょうだいが多ければ誰かが帰省すれば良かったが、少子化で一人っ子や2人きょうだいが増え、それぞれの子どもが帰省する重要性が高まった」と見る。
 一方で、夫と妻が両方の実家に家族全員で帰省しようとすると旅費がかさむため「それぞれ帰省すれば支出を減らせる」など「父子帰省のメリットは多い」とする。
 共働きが増える中で、連休中に妻が自分の時間をゆっくりと持てることもその一つ。筒井教授は「昔は、妻は夫の実家では手伝いをする風潮があった。今はお客さん扱いに変わってきているが、過渡期で、夫の実家側も接し方が分からないと感じている。自分の子どもと孫だけの方が気を使わなくていい」と述べた。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

読み応えありの記事一覧

他の追っかけを読む