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テーマ : 読み応えあり

⚽サッカーW杯カタール大会 日本の躍進、思惑に合致 拡大路線歩むFIFA

 サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本代表は低い下馬評を覆して1次リーグを突破した。強豪のドイツとスペインを打倒する躍進ぶりに列島が熱狂し、世界も興奮。日本や3大会ぶりの16強入りを果たした韓国の大健闘に、中国を明確な狙いとしてアジア企業と連携を深め拡大路線を歩む国際サッカー連盟(FIFA)も笑いが止まらない。

日本がスペインに逆転勝ちし決勝トーナメント進出を決めた試合で写真に納まるFIFAのインファンティノ会長(左端)=2日、ドーハ(共同)
日本がスペインに逆転勝ちし決勝トーナメント進出を決めた試合で写真に納まるFIFAのインファンティノ会長(左端)=2日、ドーハ(共同)
直近4大会のアジア出場国数
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アジア勢上位のFIFAランキング
アジア勢上位のFIFAランキング
日本がスペインに逆転勝ちし決勝トーナメント進出を決めた試合で写真に納まるFIFAのインファンティノ会長(左端)=2日、ドーハ(共同)
直近4大会のアジア出場国数
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依存
 FIFAは欧州を中心とした保守派の猛反対を抑え込み、次回の2026年W杯は現行から16増の48チーム参加での開催を決めている。大味な試合が増えれば大会の格式を損なう懸念もあるが、インファンティノ会長は「世界のサッカーのレベルは上がっている。大会の質が低下することはない」と主張してきた。
 東京五輪でテレビとデジタルを通じた延べ視聴者数は、国際オリンピック委員会(IOC)の発表で約30億人。W杯は、今大会の視聴者数が55億人と見込まれる随一のスポーツコンテンツだ。FIFAは次回大会に放映権料やスポンサー料で約10億ドル(1340億円)の増収を見積もっているとされ、中でも近年依存度を高める「オイルマネー」や「チャイナマネー」をさらに呼び込みたいとの思惑が透ける。

相思相愛
 ピッチを囲む色鮮やかなLED看板。異様に存在感を放つのが中国企業だ。FIFAと最高位の協賛契約を結ぶ韓国の現代自動車や地元カタールのスポンサーと並び、不動産大手の大連万達集団、乳業大手の中国蒙牛乳業などのロゴが踊る。
 愛好家として有名な習近平国家主席の意向も働き、サッカーを通して国際的なブランド力を高めたい中国企業と、世界第二の経済大国の市場開拓を進めたいFIFAは相思相愛だ。今大会を取材する中国人記者は「W杯に対する国民の関心は非常に高い。4年後出場すれば、中国資本の参入がさらに増えることは間違いない」とも断言する。

足踏み
 出場枠拡大に伴い、最大5だったアジア勢の枠は2倍近い同9となる。FIFA世界ランキングで中国は79位と低いが、アジアでは11番手。過去に1度だけ出場した02年日韓大会以来、久々の本大会を狙える位置だ。
 14年W杯で日本代表を率いた後、中国のクラブチームで指揮を執ったアルベルト・ザッケローニ氏は「構造的な問題で優秀な若手が出てこない」と強化育成の足踏みを指摘する。日本の躍進を「驚異」「アジアの誇り」と報じる中国メディアを先頭に、今大会を機に「アジアのサッカー先進国を模範に」との声が高まりそうだ。(ドーハ共同=石井大輔)

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