静岡県立大発 まんが しずおかのDNA(16)東海地震に備える 重点対策、他県にも波及

(2020/3/30 11:00)
漫画=かとうひな

 地震の被害が大きい場合、「東北地方太平洋沖地震」のように名前が付けられる。しかし、発生していないのに命名された地震がある。それは発生が想定されている「東海地震」である。
 1976年に石橋克彦氏が「駿河湾地震説」を発表し、東海地震に備えて国から本県に重点的に予算が配分されるようになった。施設の耐震化、避難地や避難路、緊急輸送路の整備、山や崖崩れへの備えなどの地震対策が行われてきた。ハード面だけではなく、自主防災組織の構築や避難訓練などのソフト面の対策も行われた。
 東海地震は危惧されてから40年以上たつが、幸いなことに発生はしていない。では、40年以上行ってきた対策は無駄だったのかというと、そうではない。
 東海地震という具体的な目標を定め、それに備えることにより、本県は他県の先駆けとなる各種の地震対策に取り組めた。他県から多くの視察が訪れ、防災先進県と呼ばれるようになった。2009年に震度6弱、11年に震度6強の地震が本県で発生したが、被害が比較的少なかったのは、各種の対策が功を奏したと言えるだろう。
 災害図上訓練(DIG)や避難所運営ゲーム(HUG)も生まれた。各種の防災情報システムも開発された。県は1996年に総合防災情報支援システム、2011年にはふじのくに防災情報共有システムの運用を開始した。
 14年には鳥取県が本県のシステムをベースとした災害情報システムを導入している。16年の熊本地震の際には、静岡県立大が開発した安否情報システムが熊本県立大に提供され、余震への備えとして使われた。このように本県で重点的に行った東海地震対策は、他県への波及効果を生んだ。
 静岡県民の遺伝子には子どもの頃から防災訓練を行うなどして、東海地震対策が組み込まれてきた。今後も油断せず、各種の大規模災害への備えを強化していく必要がある。 (湯瀬裕昭/経営情報学部教授 防災情報システム)
 静岡県立大の執筆陣が文理の枠を超え、漫画を使って静岡のDNA(文化・風土)を科学的に解き明かす(静岡新聞月曜朝刊「科学面」掲載)。

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